Project/Area Number |
23K12423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向山 直佑 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 准教授 (20972095)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 主権 / 領域 / 近世 / 非西洋 |
Outline of Research at the Start |
従来の国際関係理論では、主権国家はヨーロッパにおいて最初に成立し、それが植民地支配などを通じて他地域に広がったもので、それ以前の非ヨーロッパにはその構成要素は存在しなかったと考えられてきた。しかしながらこれは未検証の前提にすぎず、実際に何がヨーロッパに特有で、何が他地域にも存在したのかは明らかになっていない。 本研究は、日本近世を事例としてこの前提を検証し、その主権領域秩序の歴史的発展過程を明らかにするものである。近世日本を各藩を単位とした国際システムとして捉えた上で、主権国家の代表的な諸要素が近世日本においてどの程度発展していたのかを一次資料と二次文献を併用して分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本近世を事例に、「ヨーロッパ勢力の拡大以前の非ヨーロッパには主権国家の構成要素は存在しなかった」という従来の国際関係論の前提を検証し、日本近世における主権領域秩序の歴史的発展過程を明らかにするものである。 初年度となる2023年度は、主に関係する二次文献の購読に当たった。戦国時代から近世に至る時代の各領国の支配形態や領域概念の変化などについて、日本史分野の諸研究を広く読み進めた。さらに、盛岡藩をケーススタディの1つとしているため、岩手県盛岡市で資料調査を行い、岩手県立図書館等において、多くの郷土資料を収集した。 こうして得られた成果の一部を、2編の論文にまとめる作業を行った。1つは幕府・藩・村落の領域認識の相違と領域支配をめぐるポリティクスに関するもので、従来の国際関係論では、領域支配の確立は一方向的に上位権力の領域認識が下達される形で理解されてきたが、近世日本では上からの領域支配に常に下から反発が起き、下位権力の領域認識が最終的に採用されることが多かったことを示すものである。2つ目は平和と国家形成の関係に関するもので、従来の国際関係論では、戦争のための動員を通じて国家形成が進行すると考えられてきたが、近世日本の事例においては、戦国期が終了し、「国際」紛争がなくなった後にむしろ国家形成のプロセスが前進したことを示す論文である。 前者はInternational Studies Associationの2023年大会、後者は2024年大会において発表を行い、フィードバックを得た。 なお、本プロジェクトに関連する1つ目の論文が、European Journal of International Relations誌に採択され、2023年度に出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書では、「初年度の2023年度には二次文献を読み進めるとともに、具体的な事例(現在の候補は盛岡藩と岡山藩)を選択し、資料収集を行う」としていた。このうち二次文献の購読は計画通り進んでおり、盛岡藩については資料調査を一度実施した。論文執筆も順調に進んでいる。資料調査はさらに1-2度行う予定であったが、時間が足りなかったため、次年度に回すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、盛岡藩およびその周辺に加えて、九州・四国・中国のいずれかの藩に関する事例研究・資料調査も複数回行いたいと考えている。また、上記の論文の投稿も開始し、学会発表も継続する。さらに、現在Oxford University Pressからの最終成果の出版に向けたやり取りを開始しているが、2024年度末から2025年度初め頃までに、book proposalを執筆して提出したい。
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