Project/Area Number |
23K12424
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池宮城 陽子 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, JSPS特別研究員 (10822413)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 北海道の防衛 / 日本再軍備 / 米軍撤退 / 日米安保体制 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1950年代前半の日本の防衛力増強をめぐる日米両政府の議論の変遷に着目しながら、北海道の防衛責任の移譲をめぐる日米関係を解明する。解明すべき具体的課題は、①日本の防衛力増強が不十分ななかで、米軍が北海道の防衛責任を日本に移譲する方針を採った背景とその要因、②軽武装方針を採るなかで、日本が北海道の防衛責任の引き受けを決断した背景とその要因、③米軍の北海道撤退後における、自衛隊の北海道防衛と米軍による対日支援の決定過程、の3つである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、対ソ冷戦の最前線であった北海道の防衛責任が、1954年に米軍から自衛隊に移譲された背景を解明することにある。2023年度は、当初の計画通り、日本再軍備問題の「総論」に関する日米両政府の一次資料の読解と、二次文献に依拠した知見の獲得を行った。それらの作業を通して、北海道の防衛責任問題に関する論点を列挙し、翌年度に実施予定の資料調査の準備とした。 その結果、朝鮮戦争勃発後、陸軍の再建を主軸とした日本再軍備を政府方針とした米国政府は、朝鮮戦争の終戦ないし休戦の見通しが立たない1952年末の時点で、すでに北海道防衛の責任を1953年中に保安隊に移譲することを構想し、再軍備化の途上にあった日本側に打診していたことが明らかとなった。この事実は、北海道からの米地上軍の撤退が朝鮮戦争の推移とは必ずしも連動しない形で検討されていたことを意味する。極東での緊張状態が続く中で、しかも主権回復から間もない日本の防衛力整備の規模と進度に対する不満を抱える中で、米国政府は、対ソ冷戦の最前線である北海道の防衛体制の変更を企図していたのである。このことは、北海道からの米地上軍の撤退が、脅威の存在やそれとの地理的近接性とは別の動機に基づく決定であった可能性を示しており、本研究にとって重要な意義をもつ。 他方で、日本政府は、本研究が対象とする時期において、米国が希望する規模やペースでの防衛力増強を試みることはなかったとされるものの、1953年1月から保安隊が米地上軍(第一騎兵師団)とともに北海道の防衛責任を分担し始めていたことが明らかとなった。これは、日本政府が漸進的な防衛力増強方針を掲げる一方で、防衛負担の激増に繋がる北海道の防衛責任の負担を決断していたことを意味しており、その決断の背景や動機の解明は本研究の次なる重要課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、当初は計画どおりの進捗状況にあったが、年度末までの4ヶ月間は研究を中断したため、年度全体として研究課題の進捗は予定よりも遅れている。とりわけ、日本側の一次資料の収集が不十分であったため、検証作業に遅れがでている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は資料調査の実施に力を入れる。具体的には、前期に国会図書館や外務省外交史料館、大学図書館などでの国内における資料調査を実施する。後期は、米陸軍軍事歴史研究所(ペンシルベニア州カーライル)や米国国立国会図書館(メリーランド州)での資料調査を実施する。本研究の対象時期における米国政府の外交文書は、国内で閲覧・収集できるものも多いため、後期の米国における資料調査の前段階として、前期は国内における米国政府の外交文書の調査を徹底する予定である。 特に日本側の検証作業に遅れが出ていることに鑑み、2024年度の前半は、日本政府関連の資料の収集と読解により注力する。この作業を通して、日本政府が防衛負担の激増に繋がる北海道の防衛責任の分担を1953年初頭の時点で受け入れた背景とその理由を明らかにする。米国側の検証作業においては、極東における緊張状態が続く中で、軍備再建の途上にあった日本に米国政府が北海道防衛の責任を移譲する方針を決めた背景とその理由の解明に努める。その過程で不足している資料を列挙し、後期の米国での資料調査に備える。
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