知り合いに対する選好を考慮した多対一マッチング制度の分析
Project/Area Number |
23K12450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
糟谷 祐介 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (20792419)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | マーケットデザイン / 制度設計論 / 食材流通 / 飲食店業界 / 外食産業 / いじめ / 教育経済学 / マッチング理論 |
Outline of Research at the Start |
公立学校選択制に代表される多対一マッチング市場設計の議論では、従来学生は学校に対してのみ選好を張り、同級生の顔ぶれを気にしないと仮定されてきた。この仮定は、「同級生」を偏差値・住所・世帯年収等の特徴量の束と見做す限りは問題が無いと考えられてきたが、翻っていじめ、障がい支援、恋人(婚姻)、親友等に係る統計に現れない「知り合い」の重要性が見逃されてきた嫌いがある。本研究では、そのような「知り合い」に対する選好を考慮に入れた上で、望ましい多対一マッチング制度の姿形を理論的に突き止める。
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Outline of Annual Research Achievements |
三つの研究を進めた。第一に、「知り合い」に対する選好が存在する状況で、従来の狭いメッセージ空間に基づいた耐戦略的なマッチング制度(DA、TTC)が、表明可能なメッセージ=「選好」と実際の選好との乖離にも関わらず、何かしらの意味で十分に耐戦略的であると言える状況を理論的に特徴づけた。本研究は国内の研究集会で報告し、学術誌への投稿に向けて準備中である。 第二に、「知り合い」に対する選好を考慮にいれた何かしらの意味で安定なマッチングを定義する為、ルームメイト問題における新しい安定性概念を提唱し、それが常に存在することや協力ゲームの解概念である交渉集合との関係について考察をした。この成果は論文にまとめられ、Journal of Mathematical Economicsに掲載された(D. Hirata, Y. Kasuya, and K. Tomoeda, 2023)。 第三に、「知り合い」に対する選好を(学校選択制の文脈で言えば)学生側に表明させるのではなく、学校側の選抜基準(選択関数)に最初から組み込みつつ、学生側には学校に対する選好のみを提出させるような制度設計論的アプローチを構想し、分析を進めた。上述の第一のアプローチとは異なり、何かしらの意味での安定マッチングを探求するのではなく、パレート効率的なマッチングを達成するアルゴリズムを提案し、これに基づいた制度が耐戦略性(strategy-proofness)を満たすことを証明した。またマーケット・デザインの新しい領域として飲食店の予約枠分配制度に取り組み、その応用可能性について議論をした。本研究の準備段階的な内容は国内の研究集会等で報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り第一の研究(十分な耐戦略性を達成する状況の特徴付け)を進めることができたことに加えて、第二(ルームメイト問題)、第三(異なるアプローチ)の研究も進め、一定の成果を挙げることができた。 第一の研究に関しては、学校側が学生側に持つ優先順位が同順位を含む状況(weak priority)まで考察の対象に加えつつ、マッチング制度(DA、TTC)が「十分に耐戦略的」であることの定義を二通り提案し、それらがほぼ同義になることを証明した。すなわち、「いかなる環境(学校側の優先順位、受け入れ人数の上限)においてもある意味均衡となるようなメッセージの組が存在すること」と、「いかなる環境においても均衡が存在すること」が同値であり、その意味で二つの「十分な耐戦略性」は同義であることを示した。この定理を元に、理論的分析の射程について再考察を与えた。 第三の研究では第一から第三に連なる研究プロジェクトの新しい応用先として食材の流通市場並びに外食産業を提唱した。食材の流通市場においては(希少な)食材が生産者から大卸、仲卸、飲食店、消費者まで流通するサプライチェーンにおいて、食材の質に関して複数の飲食店が共同で学習する際や、消費者(客)の分布を考えて大卸や仲卸が食材を卸す先を決める際に、食材を卸す先の組み合わせが重要になる状況があり、それを「知り合い」に対する選好を考慮に入れたマッチング理論として取り扱えることを議論した。また外食産業で飲食店の予約枠を分配する際に、客側が他の客の顔ぶれを気にするのと同様に、店側が客の顔ぶれ・組み合わせを気にしつつ分配を決めていることを取材を通して解き明かし、分配制度として従来のマッチング制度を拡張した物が実務で使える可能性について分析をした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進として二つの方向性を考えている。第一は元来の研究計画通り、上記第二の研究と第一の研究を融合させる方向性である。すなわち(学校選択制の文脈で言えば)学生が他の学生の顔ぶれを気にする状況における何かしらの意味での安定性概念を(第二の研究に基づいて)考察し、それを達成するような「十分に耐戦略的」な制度の存在条件や姿形を研究する。その際に、第一の研究で得られたDAやTTCが「十分に耐戦略的」である条件との比較を通して各制度のパフォーマンスの優劣を議論したいと考えている。 第二に、これは元来の研究計画には無かった方向性であるが、上記第三の研究を更に進めることを考えている。学校選択制の文脈で言えば、学生が他の学生に対して選好を張っている状況を律儀にモデル化するのが第一の方向性であるが、学校側がある程度学生同士の選好に関して知識を有している状況や、学生に組み合わせに関して学校側が選好や優先順位を有している状況では、学生側の選好を提出させずに学校側の選抜基準を細かくモデル化することで様々な問題に取り組める可能性がある。この可能性を模索するのが第二の方向性である。学生側の選好や学校側の選好(優先順位)に同順位がある状況まで射程に入れて理論研究を進めて、実務家との交流を通して応用も進めたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)