マルチプラットフォーム寡占の理論モデル構築および競争政策的評価に関する研究
Project/Area Number |
23K12482
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
|
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
北村 亮真 追手門学院大学, 経済学部, 講師 (30801831)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | ネットワークサイズ / ネットワーク外部性 / 価格弾力性 / 価格競争 / プラットフォーム |
Outline of Research at the Start |
複数のプラットフォームを同一市場に展開する企業(マルチプラットフォーム企業)が存在する市場において、個々の企業行動がプラットフォームユーザーに与える影響を理論的に解明する必要がある。このような市場で構築されるネットワークは同一企業が供給するプラットフォームとなり、企業間での互換性の程度は従来の単一プラットフォームを供給する寡占市場とは異なる影響を市場に与えると予想される。本研究では、内生的に決定される互換性、およびネットワーク外部性を通して、マルチプラットフォームが市場成果に与える影響を理論的に解明することで、その寡占市場における一般理論モデルを確立し、競争政策的評価を与えるものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
マルチプラットフォーム寡占市場における理論モデルを構築するために、Kitamura(2023年度 関西学院大学 産業組織論研究会)の報告にあるように、消費者の予測ネットワークサイズの扱いが企業行動や市場成果に与える影響を分析した。消費者の予測ネットワークサイズは、消費者が複数のプラットフォームから、どのプラットフォームを選択するのかという選択問題に関して重要な役割を果たしている要素であるため、このネットワークサイズに関する予測が、理論モデルの中でどのように扱われているのか、また、その扱い方によって市場結果にどのような影響を及ぼすのかを分析することは今後の研究においても非常に重要である。特に、既存文献で扱われているPassive expectations とResponsive expectations という予測の扱いをより明確にする必要があり、Kitamura (2023)ではこの2つの予測の扱いを含む、より一般的な理論モデルを構築することに成功している。この一般的な理論モデルは今後マルチプラットフォーム寡占市場における予測の扱いに対して十分に応用できることを想定しており、競争市場における消費者の予測ネットワークサイズに関する価格弾力性が、企業の戦略変数(価格や販売量)や市場成果(余剰分析)に与える影響を説明できるはずである。また、Kitamura(2023)の報告時に得られた有益な議論やコメントをもとに、現在論文として執筆、修正しており、今後査読付き国際ジャーナルへ投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マルチプラットフォーム寡占市場を分析するにあたって、まずは重要となる消費者の予測ネットワークサイズの扱いについて研究を進めてきたが、既存文献における消費者の予測ネットワークサイズの扱いの分類は不完全であることが判明し、一般的なネットワーク外部性を伴う価格決定モデルを構築することに着手した。特に、Passive expectations とresponsive expectationsという2つの扱いは、消費者の予測ネットワークサイズに対して、企業のつける価格がどの程度影響を与えるのかについて分類しているが、その分類は全てのケースを網羅しているわけでなく、極端な扱いに過ぎないことを本研究では突き止めている。このような既存文献の結果を含む、より一般的なモデルを構築する必要があったが、その作業に難航しつつもKitamura(2023)で報告したように、既存の結果を含み、かつ不完全な部分を説明できるモデルを構築することに成功した。このモデルでは、消費者の予測ネットワークサイズに関する価格弾力性によってその影響を説明しており、その結果起こる均衡での取引量や社会的効率性についても同様に説明することが可能である。また、本研究は現在修正中であるが、概ね計算は終了しており、論文としてまとめているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析で判明した消費者の予測ネットワークサイズの扱いに関する理論モデルを使用し、マルチプラットフォーム寡占市場の分析へと進んでいく。特に、消費者のプラットフォーム選択に関しては、間接的ネットワークサイズの予測が重要な役割を担っているため、ネットワーク外部性を効用関数に入れ込む際に、今年度の研究成果を利用することになる。その際、簡単な寡占モデルではなく、両面市場を扱うモデルとなるため、膨大な計算が必要になることが予想される。モデル計算によって得られた結果に対して経済学的解釈を取る必要があるため、可能な限り均衡までに何が起こっているのかを明確にするようなモデルの構築を目指す。そのためには、試行錯誤的にシンプルなモデル(複占市場)から始める予定である。また、複数のプラットフォームを扱う状況を想定するため、プラットフォーム間の差別化(垂直的差別化、水平的差別化)についても区別して分析する予定である。差別化財寡占モデルの分析に関しては、既存文献のみならず、これまでの研究者の研究成果から利用できるモデルや知見があるため、それらをプラットフォーム寡占市場に応用する予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)