Project/Area Number |
23K12499
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉山 佳子 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (60965177)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 株式所有構造 / 持合い株式 / 日本的経営 / 長期雇用人材 / 役員構成 / ガバナンス / 企業金融 / 所有構造 / 調整型市場経済 / 人的資本 / ステークホルダー型ガバナンス |
Outline of Research at the Start |
本研究は、調整型市場経済のひとつとされる日本について、企業金融とコア人材を、株式所有構造の変化と長期雇用人材、企業業績の関係から捉えて実証的な分析を行うことを目的とする。直接金融への流れの中、改訂コーポレートガバナンス・コードを契機に株式の政策保有に変化が生じることは、日本企業のコア人材にどのような影響を有するのか、新しい人材(転職者、女性、・外国人など)との関係にも着目して検証を行う。そして企業のステークホルダーとして雇用関係と、株式売却で関係解消可能な株主では異なる時間軸にあることに留意しつつ、新しい株主によるガバナンスが人的資本の観点から企業業績に持つ意義を明らかにすることを試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「日本企業に長期的に関わるステークホルダーによるガバナンス」により、企業が持続しさらに価値を向上するためには何が必要かという問題意識に立ち、持合い株式の観点からの株式所有構造の変化と、日本的経営の影響を有する企業における多様化を含む人材の活用の関係、そしてこれらを企業価値との関係から考察することを目的とする。 このうち初年度である2023年度は、定性と定量の双方に基づく調査とその結果のまとめを行った。 定性調査ではまず、「株主によるガバナンスと人材の関わり」の視点から、具体的には従前の長期雇用人材に対し新しい人材の一つである女性人材を対象に、ダイバーシティマネジメントおよび資本市場の関わりについて、先行文献の調査を行うとともにこれまで行ってきたインタビューを見直し、論文として取りまとめて公表を行った。 続いて定量調査では、株式所有構造について具体的には政策保有株式に着眼し、「持合い株式の保有の有無と企業の人材の関わり」をテーマに、2022年度のデータに基づき探索的な調査を行っている。 そして両群には差異があること、具体的には持合い株式の保有群で企業の人材が長期雇用の傾向を有していること、資本市場からみた企業価値が低い傾向の状況にあることについて、実証分析で明らかにすることが出来た。 実証の結果については、経済学(調整型経済)の視点に基づき学会で発表し、指摘を踏まえてその後に論文を執筆し、公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「日本企業に長期的に関わるステークホルダーによるガバナンス」により企業の価値が持続しさらに向上するため何が必要かという問題意識に立ち、持合い株式の観点からの株式所有構造の変化と、日本的経営の影響を有する企業における多様化を含む人材の活用の関係、そしてこれらを企業価値との関係から考察することを目的とする。 このうち初年度である2023年度は、持合い株式の保有の有無と企業の人材の関わりについて、2022年度のデータに基づき探索的な調査を行った。 そして両群には差異があり、具体的には持合い株式の保有群で企業の人材が長期雇用の傾向を有すること、企業価値が低い傾向にあることについて、実証研究を行い明らかにすることが出来た。実証の結果については、経済学(調整型経済)の視点に基づき学会発表を行い、指摘を踏まえてその後に論文を執筆し、公表をしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度(2年目)は、引き続き関連文献の整理を行うとともに、持ち合い株式の保有群、無保有群の2群の区分を基本的な視点として持ち、新たに時系列による推移についてパネルデータを構築し、分析に着手する。 また併せて企業の人材に関し、時間的推移の中で人材の多様化が進展しているかについても着眼し、分析を進めることとする。このうち役員構成の観点では、2022年の単年度データにおいて特に、女性役員比率で両群に差異は見られなかった。女性役員の多くは現在、各企業で少数が社外取締役として選任され、複数社を掛け持ちするケースも少なからずあり、現在、まだトークンとしての存在であるとする指摘もある。 2024年度の実証分析では人材に関して、長期雇用の視点に、女性人材を含む多様な人材の登用に関する変化の視点を加え、従業員レベルのデータも用いながら、引き続き実証分析を行っていくことを予定している。 そして時系列による実証分析の結果についてまとめ、学会に報告し論文の執筆を行う。また国内に向けて発表を行うとともに、次年度に海外に向けて、これまでの実証結果をまとめて報告することを意識しつつ、準備を進めていくこととする。
|