Project/Area Number |
23K12604
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山崎 晶子 法政大学, その他部局等, 特別研究員 (20843866)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | エリート / 再生産 / 上級公務員 / 情報格差 / 階層移動 / 社会階層 / 不平等 / 階層 / フランス / 機会平等 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランスの上級公務員養成校の門戸開放の試みとしての入学試験改革に着目し、この試みがフランスにおける階層移動に対して果たす役割について明らかにすることを目指すものである。上級公務員になるために必須の学校であり、エリート主義の象徴とされたENAは入学者のほとんどが恵まれた階層出身者であるという点について反エリート主義者から批判され続けてきた末に廃校となった。そして代替校INSPが誕生した。 本研究ではフランスにおける上級公務員へのアクセスの機会不平等を解決する鍵としてINSPで実施される恵まれない階層出身者を対象とした入学試験を巡る質的調査を実施し、この試みの有効性について明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はフランスにおける上級公務員へのアクセスの機会不平等を解決する鍵として上級公務員養成エリート校であるINSPで実施される恵まれない階層出身者を対象とした入学試験を巡る質的調査を実施し、この試みの有効性について明らかにすることを目的としている。本年度の主な研究実績とその詳細は次の通りである。1.INSPにおいて学生のプロフィール調査からその多様性に関する調査を行っているLarat氏へのインタビューデータの分析とLarat氏執筆の同テーマの論文等の分析を実施。また、前年度までに実施済みである恵まれない階層からINSPを経て上級公務員を目指しているプレパタランの学生へのインタビュー調査の分析を実施。特に地方とパリの間の情報格差の問題が明らかになってきた。 2. 本研究が対象としている恵まれない階層を対象とした新しいコンクールであるコンクールタランに関して、INSPのサイトや政府が発表しているデータなどの分析。コンクール開始早々の時期であり、このデータのみでこのコンクールの成否や問題を評価するには早いが、現段階での分析を実施した。 3. プレパタラン、コンクールタランを経て、地方上級公務員養成校INETに入学した学生たちや卒業生たちへのインタビュー調査とそのデータ分析を実施。 4. INSPのプレパタラン責任者やプレパタラン担当者への半構造化インタビューの実施とそのデータの分析。この措置が上級公務員への門戸開放に繋がるかどうかの調査。彼らは今後もこのコンクールが継続していくことを希望し、生徒の多様性に向けての効果が出ていくことを期待していることが窺えた。 5. 機会均等プレパなどからENAやINETに至った卒業生たちが同じく恵まれない階層から上級公務員を目指す学生を支援する団体であるLA CORDEEの設立者、担当者へのインタビューや支援イベントへの参与観察を実施。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の現在までの進捗状況についておおむね順調に進展していると考えている。理由は以下の通りである。 研究計画のうち、①機会均等プレパ経由でのENA入学者へのインタビュー調査②INSPの入試責任者や試験官へのインタビュー調査③プレパ教師へのインタビュー調査が順調に進んでいるため。INSP(ENA)は国家上級公務員養成校であるため、外部者に対するガードが固く、調査に困難が予想されていたが、予想よりも多くのキーパーソンに調査を受け入れてもらっている。また、今後の調査としてプレパでの参与観察やライフストーリー・インタビューを予定しているが、それらの依頼についても快諾してもらっている。彼らは多忙を極めているため、調査のアポイント取得がやや難しく時間を要しているが、調査には前向きに協力してもらっているため、順調に遂行していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
主に以下の調査とそのデータ分析、研究発表を順次進める。 ①第三試験/機会平等プレパ経由でのENA入学者へのインタビュー調査:第三試験や機会平等プレパを経由してENAに入学した人物に半構造化インタビューを実施する。②①の調査協力者の一部へのライフストーリー・インタビュー調査:上記①の調査協力者のうち、プロフィールがなるべく多様になるように5名ずつ選び、ライフストーリー・インタビューを実施する。特に、彼らが何に(誰に)影響を受けてENAを目指すことを決意したのか、またENAに合格できたのかについて人生全体の語りから聞き取る。 ③ENA/INSPの入試責任者や試験官へのインタビュー調査:前年度に引き続き、ENA/INSPの新旧入試責任者や試験官に半構造化インタビューを実施する。④プレパ教師へのインタビュー調査、プレパでの参与観察:全国に3クラス設置されたプレパ・タランの教師や責任者に対し、具体的なコンクール対策について半構造化インタビューを行う。またこのプレパ3クラスで授業参観を中心とした参与観察を行う。⑤ENA/INSP入試データや試験講評などの分析:前年度に引き続き、ENA/INSPが公開している入試結果から、第三試験とコンクール・タラン経由の合格者に関するデータの分析を行う。また、公開された試験講評の分析を行い、高評価を獲得した答案と合格する学生の特徴を掴む。 さらに、入学試験の改革だけでは不十分である上級公務員養成校の門戸開放の方策として、地方出身者や恵まれない階層出身者が上級公務員へアクセスする可能性を広げるために何を行っているのか、また何が足りないのかを分析するために、プレパやグランゼコールへの調査だけではなく、La CORDEE(支援団体)の担当者たちや支援者たちへのインタビュー調査や参与観察を継続して行う。
|