ニクラス・ルーマンの芸術論を手かがりとした社会学的モノ論の発展
Project/Area Number |
23K12611
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
|
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
井口 暁 追手門学院大学, 社会学部, 准教授 (20839477)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | モノ / 客体 / 知覚 / 芸術 / 社会システム理論 / ニクラス・ルーマン / アクターネットワーク理論 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、モノ(objects, things)をめぐる社会学理論(社会学的モノ論)の発展と拡張を図るために、ドイツの社会学者Niklas Luhmannが芸術論の中で展開した画期的なモノ論の検討を試みることである。それを通じて、社会学のみならず人類学や哲学、メディア研究、心理学、行動経済学等で進む「脱人間中心主義的」ないし「ポストヒューマン的」な知の再創造の試みに対して新たな角度から理論的に貢献することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、モノをめぐる社会学理論(社会学的モノ論)の発展と拡張を図るために、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが芸術論の中で展開した画期的なモノ論の検討を試みることである。 上記の目的を達成するために、2023年度は、以下の論点について体系的な資料収集と検討を進めた。その成果として、研究会報告を行うとともに、論文を刊行した。並行して、2024年度の学会報告と論文刊行に向けて準備を進めた。 (1)ルーマンのモノ論の内容と変遷の検討: ルーマンの芸術論の集大成『社会の芸術』(1995)のみならず、1970年代からの論稿を幅広く収めた『芸術と文学論集』(2008、未邦訳)などを精読しながら、ルーマンの芸術論におけるモノや知覚に関する洞察の内容とその変化を整理する作業を進めた。この過程で、芸術論のみならず、ルーマンのコミュニケーション概念の形成・変容過程にまで遡った検討が必要であると感じた。そこで、ルーマンのコミュニケーション概念の背景となっているダブル・コンティンジェンシー論、さらにはルーマンがそれを通じて換骨奪胎を目指したパーソンズのダブル・コンティンジェンシー論との比較検討を行い、社会人間学研究会で報告した。 (2)他分野のモノ論との比較検討: 上記と並行して、他分野のモノ論の潮流の検討も進めた。哲学分野のポストヒューマン論に関して、人間以外の動物や地球など非人間に照準する中で唯物論へと傾いている点を抽出し、それとは別様のポストヒューマン論として、ルーマンのシステム理論的なモノ論を位置づける可能性について検討を進めている。また、ルーマンのモノ論の意義を位置づけるための文脈を整理するためにも、「非知」(わからないこと)の社会学の動向について検討し、論文を『現代思想』を寄稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の2023年度は、ルーマンのモノ論に関する基本資料のサーヴェイと収集、理論的検討を目指しており、上記のように一定の成果を出すことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、海外調査も視野に入れながら、ルーマンの芸術論、モノ論について社会システム理論および社会学内外の議論をより包括的にサーヴェイし、ルーマンの議論を体系的に位置づける作業を進めることが必要である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)