Project/Area Number |
23K12613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺地 美奈子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (80846915)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 公共性 / 地域情報 / YouTube動画 / ローカル番組 / 関東広域圏 / メディア文化 / ローカリティ / YouTube / 県域放送 / 茨城県 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、人々が現在どのように地域情報を発信・獲得しているのか、実態の解明を目的とする。研究対象は、茨城県内の地域情報を取り扱ったYouTube動画とする。マスメディアとしてのテレビが地域情報の担い手としてどのような役割を果たしてきたのか、そして、インターネット動画共有サイトによる地域情報はテレビの地域情報とどのように異なるのか、データ分析と定性的調査によって包括的に考察し、これからの地域情報のあり方を展望する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人々が現在どのように地域情報を発信・獲得しているのか、茨城県内の地域情報を取り扱ったYouTube動画を対象に、テレビと比較しながらその実態を解明しようとするものである。2023年度はYouTube上における茨城県内地域情報を取り扱った動画のカテゴリ構成や、視聴回数の多い動画のカテゴリを明らかにするため、包括的なカテゴリ分析を実施した。また、本研究を進める上で重要な背景となる、茨城県に地上波民放テレビ局が日本の都道府県で唯一存在しない件の経緯について、1985-86年に茨城県議会に設置された「文化・情報通信調査特別委員会」に着目して資料収集を進めた。 2023年度は本研究の1年目であるため、まずは研究環境の整備に取りかかった。学内にテレビの視聴・録画環境を整え、NHK水戸放送局のローカルニュース番組『いば6』その他の録画を開始した。 YouTube動画のカテゴリ分析を実施した結果、茨城県内の地域情報を取り扱った動画は飲食に関するものが多いと判明した。特に一般の方々が発信するチャンネルでは、県内飲食店を紹介するものが多くみられた。視聴回数が多い動画もやはり飲食に関するものであり、複数のラーメン店をランキング形式にて紹介する動画などが代表的であった。 次に、地上波民放テレビ局不在について、1985-86年に茨城県議会に設置された「文化・情報通信調査特別委員会」の資料収集を進めた結果、民放テレビ局の開局が躊躇された理由がいくつか判明した。関東他県における独立U局の経営難や、既存の県内CATVとの競合が理由として挙げられていたが、最も強調されている印象を受けたのは茨城県が東京からの電波をすべて受信できるという地理的条件である。放送の公共性について、県域のローカリティよりも「国民が等しくその恩恵を受ける機会を確保すること」を強調する様子が窺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ライフイベントの発生に伴う体調の変化により、調査に十分な時間を費やすことが難しい状況となった。また、学会などでの発表を控えざるを得なかった。 YouTubeのカテゴリ分析については、一通りの調査を終えたものの、より精緻な分析が必要である。カテゴリ区分の再検討、細分化に取り組みたい。テレビのローカルニュースにおけるカテゴリを基本としてYouTube動画をカテゴライズすることを当初は想定していたが、動画を視聴していくうちにYouTube動画に特化したカテゴリの必要性に気がついた。また、発信者の性格ごとにカテゴリ分析を実施していきたい。例えば一般の方々が発信する動画と、地方公共団体による動画では性質が異なると想定される。発信者の分類もYouTubeならではの工夫が必要であろう。さらに、個々の動画内容の詳細について視聴回数の多い動画や、コメントの量・内容が際立つ動画を抽出し、動画内容とコメントの分析を実施する。 茨城県が日本の都道府県で唯一地上波民放テレビ局をもたない件については、茨城県議会や茨城県立図書館に足を運び、1985-86年に茨城県議会に設置された「文化・情報通信調査特別委員会」の資料収集を一通り終えることができた。今後は、こちらの委員会の議論がどのように人々に伝えられ、いかなる議論が出ていたのか、茨城新聞の当時の記事から振り返りたい。 両調査を終えたのち、それぞれの成果を速やかに学会誌に投稿し、論文をもとに議論を深めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、まず2023年度に実施した調査の結果を広く公開すべく、論文執筆に注力する。 YouTube動画のカテゴリ分析・映像分析を終えた後は、NHK水戸放送局『いば6』のカテゴリ分析・映像分析を実施する。カテゴリ毎の放送時間を抽出し、『いば6』のカテゴリ構成を明らかにするとともに、番組内容の映像分析も行い、テレビにおける地域情報の質の側面について把握する。『いば6』の調査が終わり次第、NHK水戸放送局とYouTubeの地域情報の違いについて、カテゴリや各データ、そして内容から総合的に比較・検討を行う。『いば6』の調査終了後はNHK水戸放送局が制作するそのほかの番組にも取りかかりたい。 ここまでの調査から、改めて地域情報やローカリティについて定義や定義の成立過程を振り返る必要性を感じている。特に放送研究に蓄積のあるこれらの知見について、先行研究から学んだ上で、インターネット時代の地域情報やローカリティについて本研究の調査結果を踏まえて考えていきたい。
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