Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
戦前戦後、政府とその意向を受けた自治体による冠婚葬祭の簡素化や改善要請の強化に対しては、物心両面で困窮していた住民でさえも「抗う」という独自の反応を見せながら、伝統の祭りや、しきたり通りの婚儀を継承し続けてきた。その結果、伝統の祭りや婚礼習俗は、地域文化として定着し、今や観光振興や地域づくりの重要な資源となっている。そこで本研究では、そのような住民の「抗い」の行為にはどのようなプラグマティズムが内包され、いかに地域文化を形成するに至ったのかを分析する。対象事例として、昭和期に要請された「福井県の結婚簡素化運動」「岐阜県の高山祭における祭礼自粛運動」を取り上げ、新たな生活改善論を提示する。