Project/Area Number |
23K12707
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
|
Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
大森 一三 文教大学, 国際学部, 准教授 (20826557)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 幸福 / 自律 / 老い / 目的論 / 多元主義 / カント / 道徳教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、道徳教育における「幸福(well-being / flourish [eudaimonia])」および「自律(autonomy)」概念の多元的意味を解明し、道徳教育におけるこれらの概念が果たす役割を明らかにすることを目ざす。 本研究はまず、ディルタイおよびディルタイ派の哲学者たちによる「幸福」および「自律」概念の連関の解明に取り組む。次にその成果をカントの世界市民主義と比較考察し、両者の差異と特徴を浮き彫りにする。さらに両概念の日本の思想史における影響を考察する。また、欧州およびアジア諸域における「幸福」および「自律」概念の連関とも比較し、その多元的意味と共通可能性を解明してゆく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、道徳教育における「幸福(well-being / flourish [eudaimonia])」および「自律(autonomy)」概念の多元的意味を解明し 、道徳教育におけるこれらの概念が果たす役割を明らかにすることにある。その際に、道徳教育にとって両概念を重要な要素と見なしたイマヌエル・カントとヴィルヘルム・ディルタイの思想を手がかりに両概念の歴史的意義と課題を解明する。 2024年度の研究は、「老い(Aging)」に着目した。というのも、超高齢化社会を言われる現代の日本社会にとって、誰しもが何らかの形で体験し、関わる「老い」という現象とそこにおける「幸福」についての研究は、今日とりわけ重要な課題の一つであるからである。したがって研究代表者は、西洋哲学、倫理学思想における「老い」と「幸福」および「自律」をめぐる把握の仕方の特徴を明らかにすることを目ざし、これらの諸概念の分析を行った。その結果、伝統的な西洋哲学、倫理学思想においては「老い」を肯定的に捉える立場であれ、否定的に捉える立場であれ、いずれも共通に「老い」を衰弱として把握する根本的態度が共通していることを明らかにした。研究代表者はこうした根本的態度を「老いのイドラ」と名づけ、その起源および特徴、そしてこうした「老いのイドラ」が「幸福」および「自律」概念の把握の仕方にどのような影響を与えているかについて究明した。さらに、研究代表者はこうした「老いのイドラ」はアリストテレスにまで遡る「目的論的思考」と不可分であることを解明した。 そのうえで、「老い」を「老いのイドラ」から解放し、非目的論的思考のもと捉える思考として、ディルタイに端を発し、ガダマーへと至る解釈学的発想に可能性を認めることができることを論じた。 こレラの研究成果の一部を、「西洋哲学はなぜ「老い」を問えなかったのか――「『老い』のイドラと目的論」という題名で、公刊論文にまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究成果は研究実績の概要にも記した「西洋哲学はなぜ「老い」を問えなかったのか――「『老い』のイドラと目的論」という題名で論文にて発表している。また、「幸福」および「自律」概念の多元的意味を究明するにあたり、解釈学的手法の有効性と限界の検証の必要があることが次の課題として判明した。次年度以降の課題も明瞭になり、継続して研究を実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記で記した通り、「幸福」および「自律」概念の多元的意味を究明するにあたり、解釈学的手法の有効性と限界の検証の必要があることが次の課題として判明した。今後の研究の推進の方向性として、我が国の哲学、倫理学における解釈学についての理解と導入に重要な役割を果たしたディルタイの解釈学と、その積極的導入および展開者となり、道徳教育において最重要の思想家の1人でもある和辻哲郎の倫理学について、両者の解釈学的手法の特徴の究明とそこから「幸福」および「自律」概念の捉え方の偏差についての研究を実施してゆく予定である。
|