Project/Area Number |
23K12718
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
徳島 祐彌 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (00819443)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 体育 / カリキュラム / アメリカ / 運動科学 / 学力 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、1960年代以降の日米の学校体育に着目し、そこでの教科内容の体系化に関する議論を踏まえて、体育における重要な「概念」と「方法論」を体系化することで、深い学びを生み出す体育カリキュラムを開発する。運動・スポーツ・体育に関する研究の蓄積に対して、体育カリキュラムの理論的基盤が揺らいでいるという状況を踏まえ、より良い体育実践を創出するために理論的な貢献をするのが本研究の目的である。研究方法としては、文献調査を主とし、必要に応じてインタビュー調査と授業観察を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アメリカと日本における基礎的な文献の読解を行った。 アメリカにおける体育カリキュラム論の動向としては、キネシオロジーなど運動諸科学と体育実践の関係について検討した。アメリカにおいては、1960年代から学問と体育実践の関係が問われてきた。また、1980年代からはBasic stuff seriesなど、科学的な成果を体育へと反映させる動きが見られている。その成果は近年においても継承されており、身体リテラシーを育成するために、科学的な理解と探究を重視した体育カリキュラムがあらためて提唱されている(Chen, 2023)。このような系譜の成立と展開をどのように見るかを検討するために、基礎的な文献の収集と読解を行った。現段階では、これらの動向が、スポーツ中心の体育を問い直す示唆を与えてくれると考えている。 また、歴史的な研究としては、アメリカの体育における「身体の教育」と「身体を通した教育」の対立と関連付けて把握する必要もある。特に、アメリカにおけるphysical literacyの原点を考えるため、また科学と体育の関係を考えるうえで、C. H. McCloyの文献を見ておく必要がある。McCloyの「身体を通した教育」批判についても、基礎的な文献の収集と整理を行った。現在、読解を進めている。 関連して、日本の文献としては、教科内容の体系化にかかわる「体育理論」領域の展開について確認した。それを通して、運動諸科学の議論をどのように体育カリキュラムに反映させてきたかを整理した。まだ全体像をつかむことはできていないが、スポーツ文化との関連を中心に、学問と体育の結合を構想してきたのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動諸科学と体育実践の関係を問う議論(Cf. Chen, 2023)を確認し、そこからアメリカの系譜を追う段階まで進めている。また、現時点で検討すべき文献はおよそ収集できている。これらの文献をもとに、スポーツ対フィットネスという見方だけでなく、体育における学問とカリキュラムの関係を検討する段階に進めている。これらの系譜の展開は基本的に発展とみなせると考えているが、1960年代、あるいは1980年代から失われたものがないかを今後慎重に検討する必要がある。 また、日本に関しては、学問と体育カリキュラムの関係についての議論を十分に見つけることができていない。これは調査不足であるのか、日本でそういう論点があまり見られないのかなど、今後も継続して資料収集と検討をしていく必要がある。 研究内容の発表や、インタビュー調査等の手法にはまだ十分に進めることができていない。ただし、基礎的な文献調査は進めることができている。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査内容を、アメリカにおける体育の重要な概念と方法論を策定する議論の展開として整理する必要がある。また、学問、運動諸科学などの用語の関係を整理する必要がある。概念理解を重視する体育とまとめられてきた立場に関して、その中にある立場の違いを検討することや、概念理解重視の立場とフィットネス教育との関係も検討する必要がある。両者に親和性があることを踏まえつつも、必ずしもフィットネスだけに限定されるものではないという視点で再度検討をする。 アメリカを検討する際には、現状の日本の体育実践、とくに体育の理論的な学習との関係で見ていく必要がある。現状では基礎的な文献を見ている段階であり、日米を比較検討するまでには至っていない。この点の考察を進める必要がある。特に、運動諸科学という場合に、どのような学問を含めるか(含めるべきか)は検討の必要があり、この点について、体育の定義も踏まえて検討する必要がある。 また、歴史的な研究としては、アメリカの体育における「身体の教育」と「身体を通した教育」の対立と関連付けて把握する必要もある。この点も含めて、今後の研究の方針にしたいと考えている。
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