Project/Area Number |
23K12721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
奥村 旅人 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (50880845)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 京都労働学校 / 京都人文学園 / 労働学校 / 社会教育 / 労働者教育 / 教育史 / 生涯学習 |
Outline of Research at the Start |
近現代日本における、知識人による労働者に向けた教育活動については、教育史や社会運動史、労働史の領域において、主に知識人=教育者の教育思想や政治思想、彼らが参加していた社会運動と、教育活動との関係が検討されてきた。しかしそこでは、学ぶという営みが、個々の労働者にとってどのような意味をもつのかを問う視点を持つ研究は少なかった。 本研究では、知識人が設立し、労働者が通った教育機関である労働学校が、占領期から高度成長期の終わりにかけていかに形成され、展開・変容したのかを、特に京都労働学校を事例として検討することを通して労働者の学びという営みが持つ意味について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、1940年代及び1950年代の日本における「労働者」に向けた教育活動に関する調査・研究を主に行った。具体的には、法政大学大原社会問題研究所や国立国会図書館プランゲ文庫での資料調査を通して、戦後期における「労働学校」や「労働者教育」行政の展開を跡づけ、そこに本研究の主な対象である京都労働学校を位置づける作業を行った。主な成果は以下のとおりである。①「占領期における「労働者教育」の基礎的研究:政策と実態」(教育史学会第67回大会、2023年9月24日)、②「『勤労青年』・『労働者』に向けた社会教育事業における趣味の位置づけ:戦後関西地域の青年学級と労働学校を事例として(日本社会教育学会2023年度六月集会、2023年6月3日)。 また、京都労働学校の前身の一つである京都人文学園についても資料の発掘・整理を進めるとともに、発掘された資料を用いて、同学園が昼間制の各種学校から夜間制の各種学校へ、そして京都労働学校へとその組織を変遷させていった過程を資料から跡づけた。その主な成果は以下のとおりである。①「京都人文学園と社会運動:住谷悦治・新村猛・渡部徹に焦点を当てて」(京都の民主運動史を語る会、2023年12月2日)、「京都人文学園と社会運動:住谷悦治・新村猛・渡部徹に焦点を当てて〈上〉・〈下〉」として『燎原』(262)、10-16頁及び(263)、2-3頁に掲載。 上記した京都労働学校に関する調査と並行して、教育学における「自己教育」概念やライフヒストリー分析に関する理論的な検討も行った。以下はその成果である。「近代開拓村における自己教育に関する研究:『移民』たちのライフヒストリーをもとに」(日本社会教育学会第70回研究大会、2023年9月10日、共同発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文書資料の発掘と整理がおおむね順調に進展した。 また、京都労働学校の「卒業生」で聞き取り調査に協力いただける人物も見つかり、既に聞き取りを開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べたように、資料の発掘と整理は順調に進展している。次年度はその読解と分析を進め、研究成果として世に問う予定である。現時点での具体的な予定は以下のとおりである。 まず、京都大学人文科学研究所の紀要『人文学報』に、京都人文学園から京都労働学校への移行を分析した論考を投稿する。題目は「京都人文学園の形成と変容:知識人・労働者による教育空間と社会運動の関係史」とする予定である。同時に、発見された資料のうち特に学術的価値が高いと考えられるものについては同誌上に翻刻する(6月)。 次に、京都労働学校の「卒業生」からの聞き取りをもとに同校における教育活動の様相の分析をすすめ、日本社会教育学会大会で口頭発表する(9月)。
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