Project/Area Number |
23K12763
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 拓弥 筑波大学, 体育系, 助教 (30734298)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 体育教師 / 身体 / 体育授業 / 児童生徒 / かかわり / 非言語 / 応答 / 責任 / オンライン授業 / 奥行 / 抵抗 / 緊張 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、体育授業において児童・生徒とのかかわりを支えている、体育教師の「身体的能力」を明らかにすることである。この試みは、従来の体育教師研究に欠けていた「教師の身体」を対象化するものである。先行研究において示されてきた様々な教師行動に加えて、その行動を担う体育教師の身体的能力に着目することは、優れた体育教師が児童・生徒とのかかわりを上手く築いているという現実を、学術的に解明することに資する。これは、同じ指導法を用いても教師によってその結果が異なるという現象の理解をも可能とする。この能力の解明は、それを身につけるための方法の開発にも、新たな道を拓くものになるであろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、体育授業において児童生徒とのかかわりを支えている体育教師の「身体的能力」を明らかにするという本研究全体の目的を達成するために、まず、体育教師と児童生徒との「かかわり」の捉え直しを試みた。具体的には、これまで体育科教育学において採用されてきた「相互作用行動」等の観点、及びそれによって捉えられてきた体育授業における「かかわり」を検討対象とした。その結果、従来その「かかわり」が、体育教師の行動(刺激)とそれに対する児童生徒の授業評価(反応)として捉えられていることを確認し、そこに数値的な因果関係を見出してきたことが改めて明らかになった。 さらに、そのように捉えられた「かかわり」が、主に言語的なかかわりに限定されてきたことも、同時に明らかにすることができた。このことは、非言語的コミュニケーションと呼ばれる領域の「かかわり」について、これまでの研究では十分に検討がなされてこなかった可能性を示している。したがって、この非言語的な「かかわり」という視点を踏まえながら、体育教師の身体的能力を解明していくことの必要性が確認された。 この非言語的な「かかわり」についての検討を進めた結果、それを体育教師の「応答能力」として捉える可能性が示唆された。それは、言語的な「応答=フィードバック」とは異なり、むしろその前提として存在している非言語的な「応答能力」、もしくは「応答可能性」と呼びうるものである。この日常的には意識されることのほとんどない体育教師の「応答能力」もしくは「応答可能性」は、まさに体育教師が身体として児童生徒の前に存在していることと深く結びついていると考えられた。したがって、そのより詳細な検討を進めていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、これまでの体育授業における「かかわり」に関する検討は、計画通り進めることができた。特に、「応答能力」や「応答可能性」という重要な観点を「かかわり」との関連に見出せたことは、本研究が体育教師の身体的能力を解明していくための重要な手掛かりになると考えられ、大きな進展であったと言える。なお、それらの検討内容について、当初予定していた夏期に開催された国際スポーツ哲学会等の学会大会において成果発表を実施することができなかったという課題が残ったものの、冬期に国内学会においてそれに代わる発表を実施し、討議の機会を確保した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、大きく分けて、次の2つの課題に取り組んでいく。 1つは、当初の計画に従い、「かかわり」と体育教師の身体的能力との関係についての検討を進めていく。佐藤学が提唱した教師の「居方(ポジショニング)」や竹内敏晴の述べた「姿勢」といった現象とその概念を手がかりに、児童生徒と「かかわり」を築く体育教師の身体的行為の輪郭を、具体的な能力という観点から浮かび上がらせていきたい。 このことと関連して、次年度のもう1つの課題は、今年度の検討の結果として新たに見出された「応答能力」や「応答可能性」について、それらと身体との関係を探究することである。特に、その倫理的側面に着目することによって、体育教師の根源的な「責任」の問題として捉え直す可能性についても検討を進めていき、最終年度のオンライン授業についての考察に接続していきたい。
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