Project/Area Number |
23K12764
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
長沼 武志 横浜国立大学, 大学院教育学研究科, 教授 (30912406)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | リーダーシップ / 協働 / 資質・能力 / セルフ・コンセプト / 科学概念構築 |
Outline of Research at the Start |
学習指導要領では,主体的・対話的で深い学びを通して、資質・能力の3つの柱の育成を求めている。その柱の1つとして,学びに向かう力・人間性等の涵養が掲げられており,学習における主体性の育成とともに、どのように社会と関わり,よりよい人生を送るか等,生き方につながる学力形成が期待されている。 これに係り本研究では,自分自身に係る概念であるセルフ・コンセプトの学力に係る側面に注目した。特に、学習において他者に影響力を及ぼすリーダーシップの視点からセルフ・コンセプトを拡張して捉え,理科授業における科学概念の社会的構築にどのように寄与するのかについて、その内実を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学習指導要領に基づいた主体的・対話的な学びの育成を目指し、特に理科授業におけるリーダーシップの重要性を探求する。本研究の目的は、理科授業におけるリーダーシップの育成と、セルフ・コンセプトとの関連性を分析することである。また、リーダーシップを含むセルフ・コンセプトが科学概念の社会的な構築にどのように寄与するかを明らかにすることである。 リーダーシップに係る諸理論では、リーダーシップの育成の可能性が指摘されている。そこで、小学校第4学年「電気のはたらき」の単元にて、理科授業でのリーダーシップの育成に係る授業実践を行った(調査期間:2023年6月)。成果として、リーダーシップを発揮する環境を整えること、同時にリーダーシップに係る内省とフィードバックに取り組むことにより、リーダーシップの育成が図られることが導出された。 この成果に基づき、公立小学校第6学年「水溶液の性質」の単元にて、リーダーシップの育成の内実を検討するための授業実践を行った(調査期間:2023年11月)。問題解決において、リーダーシップを発揮する学習者は、学習状況をアセスメントして、状況を改善するための足場づくりを実施していることが導出された。つまり、意図をもって、学習状況に働きかけているのである。 社会の急激な変化に対応するために、主体性や協働性などに係る資質・能力の育成が喫緊の課題となっている。リーダーシップの育成に伴い、学習者がそれを自覚し、発揮できるようになることで、学習プロセスの調整や協働学習の促進が期待される。結果として、科学概念構築における合意形成が図られる。 このように、理科授業におけるリーダーシップの育成は、単なる個人レベルでのスキル向上だけでなく、学習集団全体の質を向上させる重要な手段になることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の進捗状況としては、初年度の計画にそって、理科授業におけるリーダーシップの育成について検討した。結果として、小学校6年生、及び、小学校4年生、それぞれ理科授業の実践を通して、リーダーシップの育成が可能であることが導出できた。実際に、学習者の振り返りを分析すると、リーダーシップそのものの理解が深まり、リーダーシップを発揮する自分自身の変容に気付く学習者が多数見られた。これらは、授業実践の前後に実施した質問紙調査(4件法)においても、量的に有意差が確認できた。 また、リーダーシップの育成に加え、理科授業の問題解決に係る資質・能力についても検討した。協働的に問題解決を図る場合、他者とのかかわりが不可欠であり、それらの資質・能力を検討することで、リーダーシップの育成と問題解決に係る資質・能力の育成の相互関係が明らかになる。これは、教科横断的な資質・能力とともに、固有の資質・能力が関わっていることを示唆しており、今年度の研究により、理科授業の問題解決に係るリーダーシップの固有性を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については、理科の問題解決を推進する際に発揮されるリーダーシップを再度検討し、教科固有性の資質・能力と教科横断的な資質・能力を整理するとともに、リーダーシップの発揮が科学概念の社会的構築にどのような影響を与えるのかを検証する。 一方で、社会的な側面としてのリーダーシップを学力形成に係るセルフ・コンセプトとして新たに位置づけて、それらの関係性を明らかにする。 セルフ・コンセプトを説明するロープ・モデルの理論では、学習に係る動機づけ、学習に係る信念、学習に係る方略の選択が位置づけられている。これらは、学習者個人の資質・能力として構成されている。他者との関わりについては、学習方略として「他者とのかかわり」で説明されているだけである。 一方、リーダーシップのように他者との協働にはたらく資質・能力は、学習者のセルフ・コンセプトの一部分であると推測されるが、ロープ・モデルは、この点で拡張が可能であると思われる。 これらのことから、理科授業実践を通して、学習者の学力形成についてリーダーシップの発揮とセルフ・コンセプトの構築の両面から捉え、相互の関係性を検証する。
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