Project/Area Number |
23K12888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
高橋 誠 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (80779827)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 教師ストレングススポッティング / 強みを活かす実践 / 教員研修 / ストレングス / 強みを活かした実践 / 教員が子どもの強みを見出す傾向 |
Outline of Research at the Start |
人が持つ「強み(strength)」を発揮させて様々な実践で応用を促進させる試みである「強みを活かした実践(Strength-Based Program: SBP)」が教育現場で展開され、効果的なTSS育成を促す方法論を確立することは急務であると考えられる。一方,TSSの調査は世界的にも数少ない。本研究では以下の4つを検討する。①TSSに影響する教員側の精神状態や特性,環境要因の影響についての調査、②子どもが認知する教員からのTSSについての調査、③子どもと教員のTSSの認知や評価の一致と不一致についての実地調査、④適切なTSSの発揮を促進させるための教員研修プログラム作成と効果検証。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、強みを活かす実践に有効であることが示されている「教員が子どもの強みを見出す傾向(TEACHER’S STRENGTH SPOTTING: TSS)」について、TSSの促進・阻害要因の特定、ならびにTSSを高める教員研修の開発とその効果検証を目的とする。主なテーマは以下のとおりであった。①TSSに影響する教員側の精神状態や特性,環境要因の影響についての調査。②子どもが認知する教員からのTSSについての調査。③子どもと教員のTSSの認知や評価の一致と不一致についての実地調査。④適切なTSSの発揮を促進させるための教員研修プログラムを作成と効果検証。 初年度となる2023年度の実績の概要は以下のとおりである。 ①「TSSに影響する教員側の精神状態や特性」:「教員側の要因の調査」:小学校教員のバーンアウト状態が児童の強みを見出す傾向(TSS)や賞賛行動に与える影響について検討した。小学校教員180名を対象として調査を行った結果,バーンアウトの進行度によってTSSや賞賛行動が異なることが判明した。この成果は『日本教育心理学会第64回大会』にて発表された。 また、現職の教員が感じる職場での心理的安全性が子どもの強みを見出す傾向や子どもへの褒め行動に与える影響について検討を行うことを目的として、WEB調査会社を通じて得られた担任経験のある小中学校と高等学校の教員540名を対象に調査を行った。その結果、男性教員は心理的安全性を感じることが子どもの強みに注目したり褒める行動をする際に直接的に重要な要素であるが、女性教員は心理的安全性そのものが強みへの注目や褒める行動には重要な要素ではなく、むしろバーンアウトのほうが強く影響することが判明した。この成果は『日本発達心理学会第35回大会』にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心的な目的である①「TSSに影響する教員側の精神状態や特性,環境要因の影響についての調査」に関しては、TSSを促進・阻害する要因としてバーンアウトや性差、学校種などの要因が判明している。さらに、TSSを促進・阻害する要因に関する調査として、WEB調査会社を通じて全国の教員約600名を対象に大規模なオンライン調査を実施した。これらの成果は2年目にあたる2024年度に発表をする予定である。 ②「子どもが認知する教員からのTSSについての調査」について、子どもが認知する担任教員からのTSSや、子ども自身の強みの認識と活用度、学校におけるパフォーマンスや精神状態に与える影響の関連について調査するため、アンケート内容ならびに尺度の選定を実施した。来年度にはWEB調査会社を通じて全国の高校生を対象に調査を実施する予定である。 ③「子どもと教員のTSSの認知や評価の一致と不一致についての実地調査」について、実地調査を行うにあたり、既存のTSSの実地調査における調査の枠組みや実施方法に関する分析を行い、日本の教育現場における適切な調査実施の方向性について、現職の小学校、中学校教員との協議を行っている。また、来年度以降に予備調査として授業見学ならびに現職教員へのインタビュー調査を行う予定である。 ④「適切なTSSの発揮を促進させるための教員研修プログラムを作成と効果検証」:TSSを向上させるための教員研修プログラムの開発を行うために、既存の強みを活かす実践(SBP)に関する調査研究(高橋,2016等)を基礎としたプログラムの開発を行った。また、教員養成課程に在籍する大学生を対象に、上記のSBPを基礎としたTSS向上のための授業プログラムを開発した。来年度以降にこの授業プログラムを実施し、成果の検証を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2024年度は以下のように研究を推進する。①WEB調査会社を通じて全国の教員約600名を対象に大規模なオンライン調査を実施した結果、抑うつ状態、休退職意向、心理的危機、学校環境、心理的安全性などの影響が示されている。これらの成果を学会にて発表をする予定である。②昨年度に行ったアンケート内容ならびに尺度の選定を踏まえて、WEB調査会社を通じて全国の高校生を対象に調査を実施する予定である。③日本の教育現場における適切な調査実施の方向性について、予備調査として授業見学ならびに現職教員へのインタビュー調査を行う予定である。④TSSを向上させるための教員研修プログラムの開発の施策として、教員養成課程の大学生向けにSBPを基礎としたTSS向上のための授業プログラムを開発した。来年度はこの授業プログラムを教員養成課程の大学生に実施し、成果の検証を行う予定である。 3年目以降は、上記の方策を踏まえて以下の通り研究を推進する。①大規模調査を踏まえて、教員に対するインタビュー調査を実施し、TSSに与える諸要因についての質的・量的両面からの分析を行う。②小中学校の児童生徒を対象としたアンケート調査を行う。子ども自身が教員からどのような強みに注目してほしいか等、子ども側からの要望について分析を行う。③教育機関でのTSS教育実践プログラムの観察ならびに成果の検証を実施する。教員と子どもの相互作用に関して観察法を用いた調査を行い、プログラム後の評価について子どもと教員の双方に調査を行うことで、現場に即したTSSの効果的運用について考察する。④上記のの成果、ならびに教職課程の大学生に対するプログラムでの成果に基づいて、TSS向上のための教員研修プログラムを開発し、実際の教員研修にて実施し、効果の検証を行う。
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