Project/Area Number |
23K12895
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粉川 尚枝 京都大学, 人と社会の未来研究院, 特定助教 (90828823)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 自己観 / 文化 / 相互独立性・相互協調性 / 夢 / 国際比較研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,文化的文脈に埋め込まれ,自己観からも影響を受ける“睡眠時の夢”を調査対象とし,意識的回答と合わせた検討から文化と自己観の関係を明らかにする。具体的には、欧米圏・東アジア圏,更に渡米中の日本人を対象に調査を実施し,調査済の日米各300名のデータと国際比較する計画である。得られた夢の語りを(1)文化差,(2)こころの発達過程,(3)異なる自己観を持つ文化圏への適応過程という観点から分析することで,日本人の自己観,自己形成過程について明らかにすることを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、夢の語りを (1)文化差・時代差、(2)非臨床群と臨床群の異同、(3)発達過程や心理療法のプロセスにおける変化 という観点から研究し、無意識レベルにも及ぶ日本人の自己のあり方を提示することを目的としている。夢という潜在的な指標から、現代社会において日本人が自己を形成し、幸福感を得ていくプロセスを明らかにすることにより、ウェルビーイングの観点からも、現代人の心理的問題・課題の解決に繋がるよう検討を試みた。
1. 日米の非臨床群各300名へ実施した、夢と自己観に関するオンライン調査について、更に国際比較を展開するため、Carmela Mento氏(Messina University, Associate Professor)と共同研究を行い、イタリアでの調査を開始した。イタリアの文化的精神性は、欧米圏の独立的自己観に加え、他者との関係にも価値を置いているとの見方から、本調査での日伊比較が、グローバル化により従来の相互協調的な社会構造が変化しつつある現代の日本社会において、相互協調性と相互独立性の両立する新しいあり方の模索に繋がればと考えている。 2. 心理療法のプロセスにおける夢の語りの変化について、1事例を基に検討した事例論文を発表した。心理療法のプロセスで生じた一連の夢の考察から、夢の象徴性や起承転結に着目する従来の夢理論では解釈が難しい“物語性のない夢”を扱う際に、夢自我に生じる身体感覚に焦点を当てることの意義を明らかにした。 3. 日本人400名へのオンライン調査を実施し、日本人の典型夢の傾向とその背景にある文化的精神性を検討した。夢見手の年齢・性別・自己観と、出現頻度の高い典型夢のテーマの関連を明らかにする中で、日本人の典型夢が自己形成・心理的成熟のプロセスを反映している可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画として挙げていた、国際比較調査の実施について、予定通りイタリアでの調査を開始することができた。また、国際比較調査の展開のため、次年度に中国での調査開始の目途も立っている。加えて、心理療法のプロセスにおける夢の語りの変化についても、事例論文一篇の刊行を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較調査を更に展開するため、次年度は中国でのオンライン調査を実施する予定である。中国と日本の比較から、東アジア圏内での自己観の異同と、日本人の自己が社会適応に向け目指す方向性を明らかにすることで、日本人の自己の特徴について、一定の知見を提示できればと考えている。 また、異なる自己観を持つ文化圏への適応過程を検討するため、次年度は日本への留学生を対象にパイロットスタディを実施予定である。インタビュー調査も含め、睡眠時の夢と、留学前後で生じた変化(現実生活、対人関係の持ち方、自身の心身の状態など)との関連を検討し、その結果を踏まえて、渡航中・在日中の方へオンライン調査を展開していく計画である。
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