Project/Area Number |
23K12911
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北原 祐理 筑波大学, 人間系, 助教 (60911807)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | メンタライゼーション / 省察機能 / アセスメント / メンタライジングの次元 / 感情調整 / 愛着 |
Outline of Research at the Start |
行動の背景にある心理状態を理解する能力は、メンタライジング(mentalizing)と呼ばれ、社会生活において不可欠である。メンタライジングの機能不全は、自己や他者の心理状態を推測する際に依拠する次元の偏りに由来し、精神医学的問題との関連が指摘されている。本研究では、非言語媒体を用いて、非意図的な反応を評価することで、従来の自記式質問紙では捉えきれなかった次元の偏りを記述することをめざす。さらに、代表的な精神医学的問題に見られる特徴的な次元の偏りを同定することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、メンタライジング能力の測定ツールの開発を目的としている。メンタライジングとは、行動の背景にある心理状態(感情、思考、欲求など)を理解する心の機能である。現在日本には、関連の測定ツールは6件ほど存在するが、妥当性や実用性に課題がある。とりわけ、メンタライジングに特徴的な心理状態の不透明性や多義性を認識する姿勢や、ストレス状況下における流動性は、評価されにくい。 そこで、当該年度では、既存の測定ツールの課題の克服に先立ち、メンタライジングの概念を提唱し、その能力の向上を主軸に据えた、メンタライゼーションに基づく治療を開発した英国のAnna Freud(旧名Anna Freud National Centre for Children and Families)が主催する、アセスメント訓練プログラムに参加した。このプログラムは、メンタライジング能力を質的データから評価するReflective Functioning Scale(以下、RFS;日本語版は未翻訳)の臨床活用及び研究利用の承認のための訓練も兼ねている。RFSを習得することにより、両親との関係性について語る半構造化面接(アダルト・アタッチメント・インタビュー)の逐語データから、被評価者のメンタライジングの柔軟性や動的な特徴を、ある程度の信頼性をもって得点化できることが理解された。また、日本人成人に予備的に実施した面接の逐語データに同評価方法を適用したところ、複数の良質なメンタライジングの特徴の抽出が可能であった。 当該年度の総括として、RFSの評価基準を継承しながら、実施時間の削減や、被評価者の心理的負担の軽減を実現できる測定ツールが必要であることが見出された。そこで、まずは良質なメンタライジングの特徴を掴む自己報告式尺度の作成に取り組むこととして、予備調査と文献検討による尺度項目の精査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該研究年度の途中で研究代表者の研究機関の異動があり、研究環境の整備や、新しい研究機関での倫理審査手続きの把握などに時間を要した。そこで、アセスメントの根幹となる概念の理論的検討や、国際的に注目されているアセスメント訓練プログラムの受講を通して、評価方法の探索に着手した。それらの活動を経て、当初予定されていた投影法を用いたアセスメントについては、適切な図版を作り、その図版に対する語りを評定する必要があること、また、その評定方法はRFSに基づくような厳密性や熟達が求められることが理解できた。一方で、日本のメンタライゼーションに基づく治療(Mentalization-Based Treatment)の実践者が参画している研究会での議論からは、国内の臨床現場では、治療効果を簡便に評価できるツールが求められていることが明確となった。以上を踏まえ、まずは既存の自己報告式尺度の改修に取り組み、自己報告式尺度では評価できないアセスメント項目を補うことを目的とした客観評価式尺度の開発の必要があると考え、研究計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は、幅広いアセスメントツールの把握や実利用を通して、評価方法を探索的に検討してきた。それらの知見については、概念的検討や方法論に関するシンポジウムにおける話題提供の形で発表してきた。一方で、実証データに基づく尺度開発研究が遅れている。研究遂行の速度を上げるための方策として、まず、学術調査モニターを活用し、対象者リクルートの手続きを円滑化する。また、調査項目を精査することで、単回の調査で複数の仮説検証ができるように工夫する。例えば、観察したい特徴のカットオフ得点のある心理尺度を調査項目に加え、モニターの特徴を踏まえた結果の比較検討をするなど、適切な方策を吟味して講じたい。さらに、学会等での発表においては、実証データに基づく発表を優先的に行うことを目指したい。
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