Study on supersingular curves and their moduli spaces via computational algebraic geometry and its applications to cryptography
Project/Area Number |
23K12949
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
工藤 桃成 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (10824708)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 計算代数幾何学 / 代数曲線 / 超特別曲線 / 高種数曲線 / 同種写像グラフ / superelliptic曲線 / グレブナー基底 / 同種写像暗号 / 超特異曲線 / モジュライ空間 / 耐量子計算機暗号 |
Outline of Research at the Start |
数学とその応用分野において,代数曲線は古くから研究されてきた重要な研究対象であり,特に代数幾何学・整数論およびその応用分野である暗号数理分野でよく研究されている. 本研究では,曲線を分類する上で特に重要な役割を果たす,超特異曲線と呼ばれる曲線の(非)存在性の決定,そして存在する場合は曲線のモジュライ空間における超特異軌道の構造の決定を主課題としている. 副課題として,代数曲線にまつわる計算代数幾何アルゴリズムの開発や,代数曲線やアーベル多様体の暗号数理分野への応用(同種写像暗号の安全性解析など)にも取り組む.これらの研究の完成により,代数学の諸分野に加えて情報セキュリティに対する貢献も可能となる.
|
Outline of Annual Research Achievements |
代数幾何学や数論幾何学における主要な課題の一つである,与えられた不変量をもつ正標数の体上の曲線が存在するか否かの決定,および数え上げや各曲線の構造決定について,主に研究に取り組んだ.また,これらの課題の解決に必須となる,計算代数幾何学のアルゴリズム群の整備を行った. 正標数の体上の曲線については,高種数の場合に,曲線の定義方程式・特異点個数の決定や,超特別曲線の存在性および数え上げの結果が得られた.前者の一部については守谷共起氏(Birmingham大学)と,後者については守谷氏,大橋亮氏・小貫啓史氏(東京大学),吉住崚氏・縫田光司氏(九州大学)と共同で行い,得られた結果はプレプリントにまとめarXivに公開または学術雑誌へ投稿済みである.また,原下秀士氏(横浜国立大学)と共同で,gonalityに関して多くの有理点個数をもつsuperelliptic曲線の数え上げアルゴリズムを構成し,結果をまとめた論文が学術雑誌Commentarii Mathematici Universitatis Sancti Pauliに受理された.関連して,前年度に執筆済みの,種数5非超楕円曲線のモジュライ空間のパラメータ付けに関する論文が,2023年度の研究を踏まえて行った修正を経て,学術雑誌Journal of Symbolic Computationに受理された. 計算代数幾何学のアルゴリズム群の整備として,横山和弘氏(立教大学)とグレブナー基底の計算量評価に関する研究を行い,アフィン半正則な多項式系に対するsolving degreeの最良の評価式を得た.この結果をまとめた論文はarXivに公開済みであり,計算代数幾何学のトップ国際会議MEGA2024に発表が受理されている. 加えて,正標数の体上の曲線が応用される,耐量子計算機暗号(同種写像暗号)について,吉住氏らと安全性解析の研究を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,2023年度に本研究対象の高種数曲線の定義方程式や基本的な性質を調べた上で,2024年度以降に正標数の場合における曲線の分類や,モジュライ空間の構造決定に取り組む予定であった.しかし,2023年度において既に,主に種数4,5の場合における曲線の明示的な定義方程式や基本的な性質(特異点の個数や同型不変量など)を決定できたため,2024年度以降に予定の与えられた不変量(a-数や有理点個数など)をもつ曲線の存在・非存在の決定や数え上げの研究に着手できており,一部結果が得られるなど順調に研究が進展している.また,本研究課題の解決には計算代数幾何学のアルゴリズム群の整備が必須であり,その根幹をなすグレブナー基底の計算量解析は一般には非常に難しい問題であるが,横山和弘氏との共同研究において多くの新しい理論結果が得られ,2件のプレプリントを執筆できた.このグレブナー基底に関する結果により,本研究課題の一つである正標数の代数曲線の計算機による分類を行う際,どのような状況であればグレブナー基底の計算を有効に活用できる・できないかが正確に判断できる状況となった.上記に加えて,吉住氏らとの共同研究では,テータ関数を用いることでアーベル多様体間の同種写像を効率的に計算するアルゴリズムを開発し,超特別ヤコビ多様体のなす同種写像グラフの具体的構成や,同種写像暗号プロトコルB-SIDHの128-bitセキュリティパラメータに対する実時間攻撃の構成へ応用できた. 以上のように,2023年度に予定していた研究を滞りなく遂行済みであるだけでなく,2024年度以降の研究がより効率的に遂行できる見通しが立っており,かつ本研究の主たる成果の暗号分野への応用にも着手できているため,本研究は当初の計画以上に進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究成果を踏まえ,与えられた不変量(a-数や有理点個数など)をもつ曲線の存在・非存在の決定や数え上げの研究を引き続き行う.また,計算機を用いてこれまでに得られた(あるいはこれから得られる)結果については,実験データをもとに理論的な証明も行う.加えて,グレブナー基底や同種写像の計算などの,計算代数幾何学のアルゴリズム群の整備についても引き続き推進し,開発したアルゴリズムを応用することで上記の超特別曲線および超特異曲線を含む正標数の代数曲線に関する課題の解決に貢献する.これらの課題解決に向けて,これまでに引き続き守谷氏,大橋氏,小貫氏,吉住氏,縫田氏,原下氏,横山氏らとの共同研究を今後も実施する.また,これまでに得られた超特別曲線の探索・数え上げのアルゴリズムの改良を目的として,E. W. Howe氏との共同研究にも着手する予定である. 研究費の使途として,2023年度同様に,出張による打ち合わせや学会参加などを行い,共同研究を効率的に遂行するとともに本研究で得られた(あるいはこれから得られる)成果を積極的に発表する.特に,2024度は自身が主催者の一人であるRIMS共同研究(公開型)「第2回 超特異曲線・超特異アーベル多様体の理論と応用」や,計算代数幾何学のトップ国際会議MEGA2024において講演を行う予定である.
|
Report
(1 results)
Research Products
(10 results)