Project/Area Number |
23K12977
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
中村 友哉 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 講師 (60801256)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | Poisson構造 / Jacobi構造 / Lie亜代数 / Jacobi亜代数 / Dirac構造 / Diracペア / Nijenhuis構造 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、シンプレクティック-Nijenhuis(SN)構造の一般化で申請者が定義し発展させた擬シンプレクティック-Nijenhuis(擬SN)構造の研究である。擬SN構造にSN構造から受け継がれる性質は次のようなものがある: ・ある準Lie双亜代数構造との1対1対応; ・「階層構造」の構成。 SN構造から定まる階層構造は可積分Hamilton系を構成する。本研究では、階層構造を用いて可積分系と擬SN構造との関連を調べる。 また、SN構造の周辺の類似の幾何構造を調べ、SN構造および擬SN構造との関連をLie亜代数の観点から調べる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で扱う多様体上の構造は擬シンプレクティック-Nijenhuis構造であり、シンプレクティック-Nijenhuis構造と擬Poisson-Nijenhuis構造の一般化である。これらの構造は全て多様体上の準Lie双亜代数と呼ばれる構造を誘導するという共通点を持つ。 一方でシンプレクティック-Nijenhuis構造(およびPoisson-Nijenhuis構造)はDiracペアという概念の一例となっている。Diracペアは一般にLie亜代数上に定まり、可積分系を与える構造を多く例に含むという意味で本研究の内容にも密接な関わりを持つ。 本年度はDiracペアを始めとした諸概念のJacobi亜代数上への拡張を行った。具体的にはDiracペアをJacobi亜代数上に定義し、Jacobi亜代数から誘導されるLie亜代数を考えると、自然にLie亜代数上のDiracペアに対応するということを示した。これはJacobi-Nijenhuis構造がPoisson-Nijenhuis構造を誘導することの一般化になっている。この内容は学術雑誌Mathematical Journal of Okayama Universityに掲載された。 また、Poisson-Nijenhuis構造と同様Poisson構造に関連した概念として、ある種の整合性を持つ(2,0)-対称テンソルの研究がある。これはKahler構造の一般化であり、より一般にはLie亜代数上の構造として定義される。Diracペアの場合と同様、本年度にはこの概念をJacobi亜代数の場合に拡張し、Jacobi亜代数から誘導されるLie亜代数を考えると、自然にLie亜代数上の整合的なテンソルに対応するということを示した。これは佐々木構造がKahler構造を誘導することの一般化になっている。この内容は2024年3月現在学術雑誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
擬シンプレクティック-Nijenhuis構造からある種の可積分系を導くため、シンプレクティック-Nijenhuis構造に適用された方法を擬シンプレクティック-Nijenhuis構造に適宜条件を付加して試してみると、結局シンプレクティック-Nijenhuis構造になってしまったり、新しい構造が得られていない。 そのため、現在は可積分系をより俯瞰で見るため、より広い概念を観察しており、さらにそれをJacobi亜代数の場合はどうなるのか考察している。具体的にはDiracペアやPoisson構造に整合的な(2,0)-テンソル場などをJacobi亜代数上で考え、対応するLie亜代数上でどのようなふるまいを見せるのか等を観察している。 このように現在は直接擬シンプレクティック-Nijenhuis構造を用いず、より一般的な状況で考えているため、当初の計画からは遅れているが、Jacobi亜代数での研究としていくつかの成果をあげている。
|
Strategy for Future Research Activity |
擬シンプレクティック-Nijenhuis構造を直接扱うことを目標とするが、より大きな枠組みであるLie亜代数上の諸概念のJacobi亜代数上への一般化のふるまいをもうしばらく研究する。接触-Nijenhuis構造からシンプレクティック-Nijenhuis構造を誘導し、それが導く可積分系を研究することが可能なように、Jacobi亜代数上の構造から"落ちてくる"構造に対応する可積分系の方が情報を多く含んでいるはずなので、"擬接触-Nijenhuis構造"のような、元々ある構造の「Jacobi版」を研究していく。 例えば現在までにJacobi亜代数上のDiracペアやJacobi構造と整合的な計量、更にKoszul-Vinberg構造のJacobi版などを研究している。
|