Project/Area Number |
23K13022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
齋藤 渓 神奈川大学, 情報学部, 助教 (80881119)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 量子ウォーク / グラフ理論 / 位相幾何学的グラフ理論 / スペクトル解析 |
Outline of Research at the Start |
量子ウォークは,粒子が空間を推移するランダムウォークの量子版であり,本研究では,頂点の集合とそれらを結ぶ辺で構成されたグラフの上を推移するものを扱う.グラフ上の量子ウォークは,Groverの探索アルゴリズムを実現するGrover walkと呼ばれるモデルや,その拡張であるSzegedy walkと呼ばれるモデルが主流である.これらのモデルのふるまいは「辺」の情報のみによって定義されるため「面」の情報は省かれる.そこで,本研究は,グラフの埋め込みなど面の情報を反映した新たなモデルを定め,そのスペクトル解析を通じて位相幾何的な特徴量の抽出,およびそれを活かした量子アルゴリズムの理論構築を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
量子ウォークは粒子が空間上を推移するランダムウォークの量子版であり,特にグラフの頂点上を推移するモデルは量子探索や完全状態遷移といったアルゴリズム的応用が盛んである.本研究の目的は,グラフの埋め込みや「面」といった位相幾何的情報を反映する新たな量子ウォークモデルのスペクトル解析を通じて,位相幾何的特徴量の抽出を目指すものであった.当該年度における成果としては,大きな二つの進展が得られた.まず,一つ目はグラフ上の量子ウォークモデルは連続極限により離散シュレーディンガー方程式を近似することが得られた定理である.特に,その近似のオーダーについても完全に明らかにすることに成功した.これによってグラフ上の量子ウォークの数理物理的な立ち位置を確立したことは本研究の背景を支える重要な結果である.次に,量子ウォークのスペクトル写像定理の一般化に成功したことである.これは当初の研究計画でも計画されていた進展であり,本研究で扱いたい位相幾何的特徴量を反映したモデルだけでなく,磁場付きシュレーディンガー方程式と関わりのある新しいモデルへの拡張も可能となった.現在は実際に本研究のモデルに対しこの拡張された定理を用いることで,固有空間がどのように記述されるかについての検討を行っている段階である.他にも位相幾何学的グラフ理論の重要な要素であるグラフ変形によるスペクトルの変化についての結果を調べ,我々の研究との対応についての考察を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究を遂行する上で大きな二つの進展が得られている.一つ目はグラフ上の量子ウォークモデルは連続極限により離散シュレーディンガー方程式を近似することが得られた定理であり,近似のオーダーについても完全に明らかにすることに成功した.これはグラフ上の量子ウォークの数理物理的な立ち位置を確立するという,本研究の背景を支える重要な結果である.二つ目は,量子ウォークのスペクトル写像定理の一般化に成功したことである.これは当初の研究計画でも計画されていた進展であり,本研究で扱いたい位相幾何的特徴量を反映したモデルだけでなく,磁場付きシュレーディンガー方程式と関わりのある新しいモデルへの拡張も可能となった.具体的に本研究で扱うモデルについての解析も着実に進めており,更なる進展のために現在は代数的グラフ理論の周辺知識の精査を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は,新たに得られた新型の量子ウォークのスペクトル写像定理を用いて,本研究で扱う位相幾何的性質を反映したモデルの解析を進めることであり,特にその固有多項式,ないしは一部の固有空間の性質を明らかにすることでグラフの特徴量と結びつける計画がある.また,位相的グラフ理論における重要な道具であるグラフ変形によるスペクトルの変化を調べることで,直接的に位相幾何的特徴量の検出を目指す方策も検討している.
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