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時間分解特異値分解によるモット絶縁体の光誘起金属化の解明

Research Project

Project/Area Number 23K13044
Research Category

Grant-in-Aid for Early-Career Scientists

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
Research InstitutionNagoya Institute of Technology

Principal Investigator

大村 周  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40868709)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Keywords光誘起相転移 / 強相関電子系 / モット転移 / 特異値分解 / 超高速現象
Outline of Research at the Start

モット絶縁体の光誘起金属転移は、強相関電子系の光物性分野の重要な課題の一つとなっている。本研究の目的は、その転移機構を理論的に解明することである。現状、膨大な励起状態が寄与することが、光誘起金属転移の理論解析を困難にしている。そこで、物理的に解釈可能な大きさに自由度を縮約するために、時間分解特異値分解という解析手法の開発を行う。これにより光と相互作用しながら、波動関数の性質がどのように変化していくかを明らかにすることを目指す。さらには、本手法がモット絶縁体の光誘起金属転移に限らず、幅広い現象に有効であることを示す。

Outline of Annual Research Achievements

本研究課題は、モット絶縁体の光誘起金属化の機構解明を目標とし、数値的に求めた光誘起ダイナミクスを時間ごとに区切って特異値分解(時間分解特異値分解)することにより解析する方針で進めている。初年度(2023年度)は、主に1次元モット絶縁体について、電荷モデルという拡張ハバードモデルの有効モデルを用いて光強励起ダイナミクスを調べた。まず様々なクーロンパラメータ・光強度においてPump-Probeスペクトルを計算し、どのような条件で金属化が起こるかを調べた。その結果、光強度はもちろんのこと、量子的な電荷揺らぎを増大させることで金属化が促進される可能性を見出した。この金属化について、時間分解特異値分解による解析を行い、光パルス照射中や前後の時間区間ごとにどのような量子状態が寄与しているかを調べた。量子状態を求めると、光パルスの強度が弱い領域ではエネルギー固有状態である1光子、および2光子励起状態が大きく寄与していることがわかった。一方パルスのピーク近傍では、電荷揺らぎが大きいPhoton-Dressed状態が強く寄与し、パルスが切れた後は金属的な状態が生成されていることが確認できた。これは、1光子・2光子励起状態の生成によって電荷揺らぎが促進され、Photon-Dressed状態を介して金属化が起こっていることを意味している。また、パラメータを制御して電荷揺らぎを増大させることによって、Dressed状態が生成されやすいことを示唆する結果が得られ、電荷揺らぎが光誘起金属化に重要な役割を果たしていることがわかった。
上記に加えて、2次元モット絶縁体の線形吸収スペクトルについて特異値分解による解析を行った。スピンと電荷の自由度が結合する2次元モット絶縁体においては、磁気由来の束縛状態とFreeな電荷の運動に由来する状態がスペクトルを構成していることを明らかにし、3月に論文が受理された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画していた通り、本年度は主に1次元モット絶縁体の光誘起金属化の解析を行った。上述した通り、光パルスの強度が弱い領域ではエネルギー固有状態である1光子・2光子励起状態が、パルスのピーク近傍ではPhoton-Dressed状態が、パルスが切れたあとはこれらの過程を通じて金属的な状態が生成されていることを明らかにすることができた。時間分解特異値分解という解析方法を導入することによって、時間依存シュレディンガー方程式の解からエネルギー固有状態という静的な状態と、Dressed Stateという過渡的な状態が自然に現れ、光誘起金属化の統一的な理解へつながると考えている。また、電荷揺らぎのパラメータを制御することにより、その依存性を実験に対応するPump-Probeスペクトル、特異値分解から得られた量子状態の両方において、電荷揺らぎ依存性を調べることができた。これらの結果については次年度中に論文投稿できる予定である。
また、次年度に予定している2次元モット絶縁体の光強励起の解析に先立ち、弱励起極限の応答である線形吸収スペクトルの起源を明らかにすることができた。これを足掛かりとして2次元モット絶縁体の光強励起による金属化についても解析を進めることを予定している。

Strategy for Future Research Activity

本年度の成果で、1次元モット絶縁体の光誘起金属転移についての機構解明に寄与できたと考えている。この成果については、パラメータ依存性をまとめ、論文投稿を行う予定である。
次年度以降は2次元モット絶縁体の解析を主に進めていく予定である。線形吸収スペクトルの解析から、スピン電荷結合に基づいた束縛状態と、スピン励起とFreeな電荷によって構成される状態がスペクトルを構成していることが明らかになった。そこで、光強度を上げた際にダイナミクスに寄与する量子状態がどのように変化していくかを時間分解しない特異値分解で求め、電荷状態とスピン状態に着目して解析を行う。これにより、線形吸収で現れた状態からどの状態に遷移していくかを知ることができる。その後、時間分解特異値分解を適用し、時間区間によってスピン・電荷ダイナミクスに寄与する量子状態を詳しく調べる予定である。最終的にスピン電荷分離が成り立つ1次元モット絶縁体と、スピン電荷が結合した2次元モット絶縁体の機構の違いを明らかにすることを目指す。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Extraction of important degrees of freedom in quantum dynamics using singular value decomposition: Application to linear optical spectrum in two-dimensional Mott insulators2024

    • Author(s)
      Tokimoto J.、Ohmura S.、Takahashi A.、Iwano K.、Okamoto H.
    • Journal Title

      Physical Review B

      Volume: 109 Issue: 19

    • DOI

      10.1103/physrevb.109.195150

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 1次元モット絶縁体の光誘起金属転移における電荷揺らぎの効果II2024

    • Author(s)
      大村周、久嶋一毅、月元奎輔、高橋聡
    • Organizer
      日本物理学会2024年春季大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 1次元モット絶縁体の光誘起金属転移における電荷揺らぎの効果 :Pump-Probe スペクトルの解析2023

    • Author(s)
      大村周、月元奎輔、高橋聡
    • Organizer
      日本物理学第78回年次大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-04-13   Modified: 2024-12-25  

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