Project/Area Number |
23K13057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 林介 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80962133)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | トポロジカル物質 / 非線形伝導現象 / ベリー位相 / 量子輸送 |
Outline of Research at the Start |
近年、トポロジカル物質における電子の持つ量子力学的な位相(ベリー位相)に由来する多彩な量子輸送現象が盛んに研究されている。これまで線形応答領域を中心に研究が進んできたが、最近ではベリー位相がもたらす非線形応答の可能性が指摘されている。本研究では、空間反転対称性の破れた極性ワイル半金属に着目して、ベリー位相に起因する非線形ホール効果を開拓する。具体的には、極性ワイル半金属RAlSi(R=希土類)を対象として、バルク試料における非線形ホール効果の探索を行う。さらに、バンドフィリングや磁性により電子状態を制御することで、非線形ホール効果の包括的な理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、トポロジカル物質と呼ばれる物質群に大きな注目が集まっており、電子の持つ量子力学的な位相(ベリー位相)に由来する多彩な量子輸送現象が開拓されてきた。これまで線形応答領域を中心に研究が進んできたが、最近ではベリー位相がもたらす非線形応答の可能性が指摘されている。本研究では、空間反転対称性の破れた極性ワイル半金属に着目して、ベリー位相に起因する非線形ホール効果を開拓する。具体的には、極性ワイル半金属RAlSi(R=希土類)を対象として、バルク試料における非線形ホール効果の探索を行う。 これまでにフラックス法を用いることで、NdAlSiやLaAlSi, GdAlSiの単結晶バルク試料の合成に成功した。ラウエX線回折法やエネルギー分散型X線(EDX)分析、抵抗測定を用いて、育成したNdAlSiの品質評価を行った。抵抗測定によりキャリア数と移動度の関係を明らかにし、ワイル電子の寄与が明瞭に観測可能な高品質試料を選出して、非線形応答の観測に向けてデバイス加工を行った。集光イオンビーム(FIB)法を用いて、非線形伝導則手に不可欠な高電流密度を実現可能なマイクロメートルサイズのデバイスを作製した。 これまでの測定において、ポーラー軸であるc軸をホール端子の向きに取った場合において、有限の非線形ホール成分を観測した。ここでは、デバイスに交流電流を印加し、1倍、2倍、3倍の周波数の電圧信号をロックイン測定により検出した。この信号が試料に由来するかどうかの検証を今後行うことが重要である。結晶方位を変更した場合に、非線形ホール信号が結晶の対称性と整合する結果になるかを確認したり、温度依存性を確認することを検討している。また、入力した電流に対して電圧信号が遅れて発生するインダクタンス信号も検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フラックス法を用いて高品質単結晶RAlSi試料の合成に成功しており、今後のスムーズな研究展開が可能となっている。また、抵抗測定においてキャリア数依存性を精密に調べることで、バンドフィリングの異なる試料の合成にも成功している。加えて、集光イオンビーム法を用いて、マイクロメートルサイズのデバイス加工にも成功した。デバイス試料において、バルク試料の物性応答を再現することを確認しており、デバイス加工のプロセスで試料にダメージが入っていないことを確認した。非線形ホール効果やインダクタンス応答など、創発電場や創発磁場に関連した新規な量子現象が観測されている可能性があり、今後の詳しい研究探索へとつながる結果である。 以上の研究進捗状況を踏まえて、「当初の計画以上に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、NdAlSiやLaAlSiにおいて観測された非線形ホール効果やインダクタンス応答について、更なる探索および検証が重要である。試料の発熱効果などの外因的な寄与を含めて多角的な検証を行うことにより、磁性ワイル半金属における創発電磁場に起因した新規量子現象の開拓を行っていく。
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