Project/Area Number |
23K13090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 14030:Applied plasma science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宗岡 均 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (50908803)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 超臨界流体プラズマ / 液体プラズマ / カーボンナノチューブ電極 / 電子温度 / 電子密度 / 放電空間中の流体密度 / 気液遷移 / 密度揺らぎ / 放電反応場 |
Outline of Research at the Start |
近年、液中プラズマの研究が盛んであるが、通常、放電空間は気体である。本研究では、液体を保持した放電反応場を実現し、気相から液相まで超臨界流体を介して密度を連続的に変化させる。連続的な大量測定・材料処理により、窒素、アルゴン、二酸化炭素などの誘電性(絶縁性)流体の放電反応場の基礎的特性(電子密度・活性種密度等の測定)および反応特性(反応生成物等の解析)の密度依存性の評価を行う。これにより、通常の気相のプラズマと比較することで液相や超臨界流体を保持した放電反応場の特徴を明確にし、その新しい反応場を用いた材料プロセス応用の可能性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、液体中の低温プラズマ(液中プラズマ)の研究が進んでいる。気相と液相は超臨界流体を介して連続的に接続でき、その遷移領域では流体密度の揺らぎに起因した特異な放電現象も知られているため、誘電性(絶縁性)流体の放電反応場の基礎的特性および反応特性の気液遷移の解明は興味深い課題である。本研究では、気相から液相まで超臨界流体を介して密度を連続的に変化させながら基礎的な測定や材料処理を行うことで、気体~液体間の遷移領域における放電反応場の流体密度依存性の評価と、密度揺らぎの影響評価を行うことを目的としている。 本年度は、①低温における窒素・アルゴン中放電の基礎的測定・材料改質と、②室温付近における二酸化炭素用の制御性の良い実験装置の立ち上げ・予備的な測定を実施した。 ①について、基礎的測定として、放電空間の流体密度・電子密度・電子温度の評価を行った。まず、カーボンナノチューブを電極として用いた放電において、窒素/酸素中放電の活性種である準安定酸素原子(Oラジカル)の発光スペクトルの広がり幅の密度依存性を測定した。その結果、Oラジカルの周囲の密度が周囲の流体の密度を概ね保持していることがわかり、液相放電と呼べる状態が実現できることを示した。また、アルゴン中では制動放射スペクトルの解析により電子密度・温度を評価し、凝縮相中でも電子が数eV程度まで加速されることがわかった。さらに、材料処理に向け、放電のスケールアップと反応性の検証を行った。その結果、電極構造の工夫により放電領域を1mm程度のスケールまで拡大することができ、非常にマイルドな放電にも関わらず金属材料表面が化学的に反応することを明らかにした。 ②について、実験装置の立ち上げとともに、密度揺らぎに起因した光の散乱現象(臨界蛋白光現象)の評価系を新たに構築し、密度揺らぎ現象の大きさを(半)定量的に測定できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒素・アルゴンにおいて、概ね計画に沿った形で基礎的測定実験を立ち上げ、実施することができた。基礎的評価として、当初の目論見通り電子密度・電子温度の評価ができたほか、放電反応場中の流体密度の評価など当初の計画で想定していなかった研究結果も得ることができた。また、放電のスケールアップにより、基板表面への放電照射ができる実験系を構築するなど、材料評価のための基盤も整えることができた。材料プロセスに関しては、特定の密度条件で実験を実施するところまで進捗した一方、連続的な気液遷移を伴う実験の実施は翌年度に持ち越しとなった。 また、二酸化炭素の実験系においても、翌年度の本格的な実験に向けて二酸化炭素用チャンバーの立ち上げを計画通り進展できた。また、予備的な測定として、白色光を導入した分光測定により密度揺らぎに起因する臨界蛋白光現象における光散乱の程度を評価できたことは、当初の想定を超える部分であった。 このように、1年目の計画に概ね従った形で研究が進展し、特に基礎的測定において、放電空間の気液遷移を測定することができた。また、2年目以降に基礎・応用両面での放電反応場の気液遷移の評価や密度揺らぎの影響を評価するための基盤を構築することができた。上記を勘案すると、総合して、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、窒素・アルゴン系、二酸化炭素系の双方において、基礎的測定と材料処理を行うことで、放電反応場の気液遷移の評価を進める予定である。また、二酸化炭素においては密度揺らぎの影響についても評価を進める。また、今年度で得られた結果も含めて積極的に学術論文・学会等で発表を行っていく予定である。
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