Project/Area Number |
23K13092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 將樹 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20871106)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 重力波 / 相転移 / ダークマター / ブラックホール / 熱化 / インフレーション / 宇宙論 / 再加熱 / 暗黒物質 |
Outline of Research at the Start |
初期宇宙において熱平衡に至る過程は、ダークマターや物質の起源の解明や重力波観測などの重要な観測量と密接に関わっている。本研究では、物理学の基礎理論である素粒子の標準模型に基づいたbottom upアプローチによって、宇宙が熱平衡に至る過程を解析する。特に、クォークグルーオンプラズマの理論を応用することで宇宙初期の再加熱時期における熱平衡化の過程を数値計算し、宇宙の最高到達温度を決定する。またその熱化に至る過程において、ダークマターや物質の非対称性が生成された可能性を探究し、その理論の重力波観測実験による検証可能性についても議論する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度中に、世界中のパルサータイミングアレー実験によってナノヘルツ帯の重力波が観測されたとの報告がなされていた。これを受けて、そのシグナルを自然に説明し、かつダークマターの存在量も同時に説明することができるモデルを提案した。このシナリオが実現されるためには宇宙初期にある相転移が起こらなければならないが、それは逆に宇宙の熱史に関する情報を与えてくれることになる。今後のKAGRAなどの重力波観測実験の結果によってはこのモデルが検証可能であり、今後の発展が期待される。 また、ブラックホールの存在はその周りの時空を歪め、何もない状態よりも相転移が引き起こされやすくなることが指摘されていた。この効果によってブラックホールの周りでのみ相転移が引き起こされる可能性を探究し、それによってブラックホールの密度によっては相転移が非常に長い期間にわたって続く可能性を指摘した。また、相転移が完全には終わらない場合、別の宇宙が生まれる可能性についても明らかにした。この別の宇宙は我々の宇宙から見るとブラックホールとして観測され、相転移の種となるブラックホールから新しい大きなブラックホールが生成されるという興味深いシナリオが実現されることを指摘した。 その他にも、宇宙の物質反物質非対称性の起源についての研究、アクシオンと呼ばれるダークマターの候補の生成方法に関する研究、およびハイブリッドインフレーションモデルにおける原始ブラックホールの生成についての研究を行ない、その成果を研究論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期宇宙において熱平衡に至る過程は、ダークマターや物質の起源の解明や重力波観測などの重要な観測量と密接に関わっている。これまでの研究により、宇宙初期の再加熱時期における熱平衡化の過程のうち定常解で記述される部分が明らかになり、また熱平衡に至った後に生じる相転移によるダイナミクスが明らかにされ、それに伴うダークマターや重力波の生成についての詳細も明らかになりつつある。本研究計画は予定通りに進み、順調に達成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
インフレーション後の熱化のダイナミクスを明らかにするために、インフレーションを引き起こしていたインフラトンと呼ばれる物質が標準模型の粒子に崩壊したときに生成される非常に高いエネルギーを持った粒子の熱化に至る過程を詳細にシミュレーションする。このような高エネルギーの粒子が熱化するためには非弾性散乱によってエネルギーを失っていく必要がある。基本的にはゲージ場を放出してエネルギーを失うことになるが、その放射確率が大きいと放射したゲージ場が高エネルギー粒子から充分離れる前に次の放射が引き起こされることになり、それらの間で量子的な干渉効果が働くことが知られている。本研究ではこの量子的な干渉効果を取り入れたボルツマン方程式を初期宇宙論に応用し、その数値計算をインフレーション直後から行うことによって、宇宙の有効温度の時間発展を得る。
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