Project/Area Number |
23K13126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平本 綾美 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特別研究員(PD) (10928807)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 電気双極子モーメント / 冷却分子 |
Outline of Research at the Start |
ACME実験は極性分子ThOを用いて電子の電気双極子モーメント (eEDM) を探索し、CP対称性の破れを観測することを目標としている。これまでACMEは2018年に世界最高精度でeEDMに対する上限値を与えており、現在はさらに測定感度を30倍以上向上させた実験を行うために装置全体のアップグレードを遂行している。 本研究ではとくにACMEの系統誤差削減に注目し、最大の系統誤差の一つであるレーザー偏光の不完全性に起因する誤差の削減および、フルシミュレーションを用いた未知の系統誤差の探索を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
ACME実験では極性分子ThOを用いた電子の電気双極子モーメント (eEDM) 探索によりCP対称性の破れの観測を目指している。ACME実験は2018年に世界最高精度でeEDMに対する上限値を与えており、現在は測定感度向上に向けて装置全体のアップグレードを遂行している。本研究課題はとくに、ACME実験の系統誤差削減を目指すものであり、最大の系統誤差要因であるレーザー偏光の不完全性に起因する誤差の削減および磁場の不定性の削減に加え、フルシミュレーションを用いた未知の系統誤差の探索に向けて開発を行なっている。 本年度はまず、ガラスによるレーザー偏光の回転を削減するためのセットアップ開発を行なった。真空チェンバーの窓ガラスにレーザーが入射する際に、ガラスの複屈折によりレーザー偏光は影響を受ける。この影響をこれまでより削減するためのガラスの選定を行い、さらに、応力ストレスによる複屈折を軽減するような固定方法を準備した。これらのガラス窓を実際の真空チェンバーに取り付け、Northwestern大学の実験装置へとインストールした。またこの際、窓から真空チェンバー内に環境光が入らないようにする必要があるため、窓の遮光システムも開発した。 さらに磁気シールドの性能を評価するために必要な磁力計のセットアップや、相互作用領域に磁場をかけるための磁場一様性の高いコイルの制作なども行った。 またシミュレーションに関しては、ThO分子とレーザーの相互作用に関するシミュレーションを岡山大学のグループで開発し、レーザーの偏光により電子スピンがどのような影響を受けるか簡易的に計算することに成功した。これをもとに今後はThO分子ビーム全体の詳細なシミュレーションを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は頻繁に実験サイトであるNorthwestern大学へ訪問し、真空窓部分の設計およびインストールを予定通り行うことができた。さらに真空窓に関わる遮光パーツも現場で相談を行いながらデザインし、制作およびインストールを行い、クオリティに問題がないことを確認することができた。磁気シールドやコイルに関しても、長期的に現地に滞在することで共同研究者たちと協力して開発を行うことができた。シミュレーションに関しても部分的ではあるがレーザー偏光の与える影響について理解を深めることができたため、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ACME実験は実験装置アップグレードの最終段階にあり、ThOビームを用いた系統誤差スタディを開始している。代表者は2024年4月より海外特別研究員としてNorthwestern大学に滞在するため、シミュレーションの発展に加え、現場での系統誤差評価などに取り組む予定である。その後は共同研究者たちとともにeEDMを世界最高感度で探索する。
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