Project/Area Number |
23K13127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
須田 祐介 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (70910321)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | ガンマ線バースト / 超高エネルギーガンマ線 / 大気チェレンコフ望遠鏡 / MAGIC / CTA / MeVガンマ線 / AMEGO-X / AstroPix / MeVガンマ線衛星 |
Outline of Research at the Start |
ガンマ線バースト(GRB)は宇宙最大の爆発現象である。TeVガンマ線望遠鏡MAGICによりGRBからのTeVガンマ線放射が発見された後、数例のGRBでTeV放射が報告されたが、放射機構の統一的理解には至っていない。また、GRB研究を大きく発展させる上で、GRBで放出される主なエネルギー帯であるMeV領域のガンマ線を観測できる全天MeVガンマ線衛星の早期実現が切望され、マルチメッセンジャー天文学の潮流においてもその必要性が増している。本研究では、MAGICとCTA-LSTを用いてTeVガンマ線放射機構の解明に挑み、次世代MeVガンマ線衛星に向けた検出器開発やGRB感度研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はガンマ線バースト(GRB)のTeVガンマ線放射機構の解明を目的として、MAGICとCTA LST初号基(LST-1)を用いた観測的研究と次世代MeVガンマ線衛星に向けた研究開発を行うものである。 MAGICがTeV帯域においてガンマ線放射の兆候を得たGRB 201015Aは、TeVガンマ線で検出されたGRBよりもisotropic-equivalent energyが3桁も低い。このような比較的暗いGRBにおけるガンマ線放射機構の理解を目指し、2023年度はすでに解析が完了しているGRB 201015Aのほかに、同程度に暗い別のGRBのデータ解析を進めた。 MAGICとLST-1の同時観測はGRB観測の感度向上に重要であり、本年度にその観測データの解析パイプラインの性能評価論文を責任著者の一人として発表し、国際会議において口頭発表した。MAGIC (LST-1)単体観測よりも30% (40%)暗い天体でも検出できることを明らかにした。同時解析への貢献が認められ、他3名の共同研究者とともにMAGICコラボレーションのFlorian Goebel Prize 2023を受賞した。 TeVガンマ線放射機構を解明する上で重要なMeVガンマ線観測を開拓するため、次世代MeVガンマ線衛星AMEGO-Xの主要開発要素である新型ピクセル検出器AstroPixの開発を米国NASAなどと共同で行なっている。AstroPix2およびAstroPix3のX線源を用いたエネルギースペクトル測定や空乏層評価などの基礎性能評価を実施し国内外の学会において発表した。AstroPixの宇宙空間での動作実証試験A-STEP計画ではScience/Simulationチームのリーダーを勤め、Geant4ベースの検出器シミュレーションに取り組み、Critical Design Reviewにて現状報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MAGICで観測した比較的暗いGRBのデータ解析に取り組み、GRB 201015Aの結果と合わせた論文化を進めた。MAGICとLST-1の同時観測に必要な同時解析パイプラインを確立したことで今後のGRB観測に万全の体制を整えることができた。一方で、さらなる観測可能性の向上に必要な月明かり下での観測データに対する解析手法の開発については、構想を練っているもののまだ具体的には取り組めていない。 実験室で可能なAstroPixの基礎性能評価を系統的に実施しており、AstroPixチーム内でも最も幅広い評価を行なっており、チップ設計側に有益なフィードバックをかけることができている。実際にKarlsruhe Institute of Technologyへ出向き、チップ設計者であるN. Striebig氏と性能評価結果および今後の開発方針について議論を行なった。A-STEPはAstroPixを三層重ねた検出器を観測用ロケットに搭載し宇宙空間における動作実証試験を行う計画で、研究代表者はScience/Simulationチームを率いており、スケジュール通りにプロジェクトを進めている。また、別のシリコンピクセル検出器であるXRPIXについても性能評価を行なっており、SPring-8の偏光ビームを用いた試験も行いデータ解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
比較的暗いGRBのMAGIC観測結果を論文発表する。月明かり下で取得した観測データの解析手法の開発に取り組みつつ、MAGICおよびLST-1で今後観測するGRBのデータ解析を行い、GRBにおけるTeVガンマ線放射機構の解明に迫る。 AstroPix2とAstroPix3の基礎性能評価の結果をまとめ論文発表を行う。電荷シェアリングの評価や放射線耐性評価試験などの一歩進んだ研究により、センサの理解を深め、最終設計に得られた知見を盛り込む。A-STEP検出器の地上での性能評価をモンテカルロシミュレーションと照らし合わせて行い、2025年の打ち上げに向けた準備を整える。これらの経験を活かし、AMEGO-XプロトタイプであるComPair-2についてもモンテカルロシミュレーションや解析パイプラインの開発に貢献する。
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