Project/Area Number |
23K13153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川室 太希 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (60867935)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 活動銀河核 / X線コロナ / X線 / サブミリ・ミリ波 / 超巨大ブラックホール / ミリ波 / ALMA |
Outline of Research at the Start |
活動銀河核の基本的な構造の一つに、超巨大ブラックホールの極近傍のX線を放射する高エネルギー電子コロナがある。これまで、X線観測を主軸として、X線コロナの性質 (電子温度、光学的厚み、幾何学的な構造) についての研究が行われてきた。しかし、過去約20年にもわたる研究でも、それらの制限は難航している。そのような中、ミリ波とX線の光度の極めて強い相関関係から、ミリ波放射の観測からX線コロナについて新たな知見が得られる可能性がわかってきた。そこで、ミリ波放射の強度、時間変動、そして直接撮像からX線コロナの特に幾何学的構造について理解する研究を推し進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
活動銀河核の基本的な構造の一つとして、X線を放射する高エネルギー電子群 (X 線コロナ) が超巨大ブラックホール極近傍にある。これまで、X線観測を主軸として、X線コロナの性質についての研究が行われてきたが、過去約20年にも渡る研究でも、その起源は解明されていない。そのような中、X線とミリ波の光度の間の極めて強い相関関係を、私は発見した。これは、ミリ波の観測からX線コロナについての新たな知見が得られる可能性があることを示唆する。そこで本申請課題では、ミリ波が真にX線コロナと関連するのかを明らかにすることを目的としている。
今年度は、特に時間変動に着目した研究を実施した。より具体的には、近傍の活動銀河核 IC 4329A に対して同時期に取得されたサブミリ・ミリ波干渉計 ALMA と X 線望遠鏡 NICER、XMM-Newton、Swift のデータの解析、議論を行った。ALMA と X 線望遠鏡のデータのそれぞれで、一日ごとのフラックスを求めた。そして、ミリ波と X 線の間に関連性が存在するのか、フラックスの振る舞いの類似性を検証した。結果、有意な振る舞いの類似性を検出することはできなかった。しかし興味深いことに、ミリ波が数日の時間スケールで変動していることを発見し、塵からの熱放射や、制動放射がミリ波起源とする説は強く棄却できた。他に、ジェットや放出流の衝撃波によるミリ波放射も考えられるが、他の波長や詳細なX線分光のデータ解析から、そこまで強くサポートされないことがわかった。結果、X線コロナが現状、尤もらしい説として残ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終的にX線コロナの起源を明らかにするために、本年度はミリ波放射とX線放射の関連性の調査を時間変動に着目して行った。ミリ波と X 線データを解析し、議論を行いまとめた原稿 (Shablovinskaya et al.) は欧文雑誌に投稿されているが、まだ掲載受理まではいっていない。また、グローバルミリ波VLBI観測網を用いた直接撮像のデータに関しても、まだデータ較正の難しさからあまり進んでいない。したがって、やや遅れているとする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、グローバルミリ波VLBI観測網によって得られているデータの議論を進める。それらに加えて、近傍の 5 つの AGN に対して取得した ALMA の高空間分解能データ (< 50 pc) を解析することで、ミリ波の起源に対して新たな知見を加える。それら AGN は、ブラックホールと母銀河の主要な性質の中で (例えば、ブラックホール質量や母銀河質量)、ブラックホールの質量に対する光度 (おおまかに質量降着率) の比だけが大きく異なるようにして選択されている。この比はエディントン比と言われ、その比に応じて AGN の降着流が変わると考えられている。そのため、降着流の変化に対して、ミリ波の強度がどのように変化するのかを調査できる素性の良い AGN サンプルとなっており、その変化に応じてミリ波の強度が変化するか調査する。
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