Project/Area Number |
23K13184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 善之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (50974359)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | マグマオーシャン / 電気伝導度 / 高温高圧実験 |
Outline of Research at the Start |
地球形成初期から続いている地磁気の存在は海の維持,生命の誕生および繁栄に必要不可欠であると考えられている.現在の地磁気は地球コアのダイナモによって駆動・維持されていると考えられているが,太古代以前はコアによるダイナモの駆動は困難であるとされている.太古代までの地磁気を生成する担い手として,高圧マグマの対流による地磁気の生成が理論研究で提案されており,その生成の可否は高温高圧下におけるマグマの電気伝導度によって決まる.本研究ではダイヤモンドセル高圧発生装置を用いた高温高圧実験により,世界で初めて初期地球深部マグマの電気伝導度の測定を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
地球形成初期から続いている地磁気の存在は海の維持,生命の誕生および繁栄に必要不可欠であると考えられている.現在の地磁気は地球コアのダイナモによって駆動・維持されていると考えられているが,太古代以前はコアによるダイナモの駆動は困難であるとされている.太古代までの地磁気を生成する担い手として,高圧マグマの対流による地磁気の生成が理論研究で提案されており,その生成の可否は高温高圧下におけるマグマの電気伝導度によって決まる.ダイヤモンドセル高圧発生装置を用いた高温高圧実験により,世界で初めて初期地球深部マグマの電気伝導度の測定を行うことでこれまで大きな謎とされてきた地球の形成初期である冥王代,太古代において地磁気が安定的に生成・維持されてきたメカニズムとして最有力の仮説である「シリケイトダイナモ」が妥当であるかを実験的に検証することを目的として本研究を行った. 研究計画では,理論的な先行研究が存在するSiO2 およびpyrolite組成のシリケイトマグマに加えて,地球 マントルの基本成分であるMgSiO3の3組成についてそれぞれ測定を行う予定であった.本年度は1)シリケイトマグマの電気伝導度を従来よりもさらなる高温高圧条件で測定を行えるようにするためのボロンドープダイヤモンド電極の開発を行った.また,2)MgSiO3組成マグマに対して71万気圧,4490 Kまでの測定を行い,3) その結果をまとめた論文執筆を行った.さらに,4) pyrolite組成のマグマに対して72万気圧,4000 Kまでの測定を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画段階では,理論的な先行研究が存在するSiO2 およびpyrolite組成のシリケイトマグマに加えて,地球マントルの基本成分であるMgSiO3の3組成について,初期地球の最下部マントル温度圧力条件である135 GPa, 5,000 Kまでの条件で電気伝導度測定を行う計画であった. 本年度では,MgSiO3およびpyrolite組成マグマに対して~70万気圧,~4500 Kまでの温度圧力で実験を行い,電気伝導度を得ることに成功した.圧力発生には課題が残るが,下部マントル深部までの温度圧力条件におけるシリケイトマグマの電気伝導度を2組成に対して決定することができた.SiO2組成の測定は行えていないが,理論上SiO2マグマの電気伝導度はMgSiO3やpyrolite組成のものよりも低いとされており,シリケイトダイナモは起こり得るか?という問いに対しての優先度はMgSiO3およびpyrolite組成マグマのほうが高い.本年度はこの重要な2組成に対して測定を行いデータを得ることができたという点で,研究計画は順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1)圧力の拡張,および2)pyrolite組成マグマのデータの拡充,を行う予定である.現状MgSiO3およびpyrolite組成マグマの高温高圧電気伝導度はともに70万気圧までにとどまっている.一方で,100万気圧を超える圧力ではこれらのマグマの電気輸送メカニズムに電子伝導が加わる可能性が理論的に提唱されており,このようなさらなる高圧環境でも測定を行うことも極めて重要である.そのため,既に得られている組成に対してさらなる高い圧力までデータ取得を行う.また,pyrolite組成マグマの電気伝導度データについて,MgSiO3とは異なり多成分系であるため,実験温度の違いから得られるマグマの組成が毎回異なる.そのような組成の違いによる電気伝導度の違いを明らかにするためには端成分のデータよりもさらにデータ密度を高める必要がある.そのため,組成の違いによる電気伝導度の違いを明らかにする目的で今後は得られたpyroliteマグマの電気伝導度の実験温度圧力とは異なる条件でさらにデータを取得し,シリケイトマグマの電気伝導度の組成依存性を詳細に明らかにする予定である.
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