Project/Area Number |
23K13196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
前田 純伶 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波防災研究部門, 契約研究員 (30897872)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 剪断摩擦実験 / 摩擦・摩耗特性 / 砂岩 / 石英 / 鏡面 / 剪断摩擦試験 |
Outline of Research at the Start |
断層破砕帯の幅は断層の長さや変位量と経験的に相関関係があることが明らかにされており,断層で発生する最大地震規模の推定や過去の地震履歴を評価するために,破砕帯の幅は重要な情報である.しかし,現在の知見では,破砕帯の幅を規定する要因や経験的な相関関係の背景にある物理メカニズムについては明らかにされていない.本研究では,石英系砂岩を対象とした剪断摩擦実験を行い,その摩擦・摩耗特性を明らかにすることで,破砕帯において最も変形度の高い断層コアを構成する摩耗物(ガウジ)の生成量を規定する要因を定量的に明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
断層破砕帯の幅は断層の長さや変位量と経験的に相関関係があることが明らかにされているが,破砕帯の幅を規定する要因については十分に理解されておらず,また,経験的な相関関係から大きく外れる断層も存在する.そのため,地震の最大規模予測および過去の地震履歴の評価の高信頼化のためには,破砕帯の幅を規定する要因および経験的な相関関係から外れる原因を明らかにする必要がある.本研究では破砕帯において最も変形度の高い断層コアの幅を規定する要因の解明に向け,摩擦・摩耗特性が十分に理解されていない石英系砂岩を対象とした剪断摩擦実験を行い,断層運動によって生じる摩耗物の生成量が剪断条件,岩石学的特性および剪断面の微視的構造によってどのように変化するのかを明らかにし,石英系砂岩の摩擦・摩耗モデルの構築を行う. 今年度は石英質砂岩(インド産)と石英を含む硬砂岩(京都府産)を対象とし,剪断面から摩耗物が排出される状態での剪断摩擦実験を行った.また,実験後に走査型電子顕微鏡を用いた剪断面の微細構造観察を行い,剪断面の微視的構造の変化を確認した.その結果,石英質砂岩は入力仕事率(すべり速度と垂直応力の積)の増加に伴い,1)剪断面全体に鏡面が発達,2)鏡面の一部が破壊,3)剪断面全体に摩耗痕が発達,4)摩耗痕と鏡面の両構造が発達,と剪断面の状態が4つのフェーズに遷移することが判明した.また,フェーズ1では摩擦係数の低下および摩耗物がほとんど生成されないのに対して,フェーズ2以降では摩擦係数と摩耗率が入力仕事率に対して正の相関を示した. 走査型電子顕微鏡による微細構造観察および剪断面近傍の温度計測から,石英質砂岩の剪断面の構造の遷移および摩擦・摩耗特性の転換は,熱に依存する石英の鉱物学的特性が影響していることを明らかにした.これは構成鉱物および摩擦熱が摩耗物の生成量に大きく影響することを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果として,石英質砂岩では熱に依存する石英の鉱物学的特性が摩耗物の生成量に大きな影響を与えることを明らかにした.これは本研究の計画内容にあった摩耗物の生成量を規定する要因を定量的に明らかにすることに繋がる成果である.そのため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,まず初めに今年度までに行った剪断摩擦実験よりも高いすべり速度での剪断摩擦実験を行う予定である.その後,当初の予定通り,実験中に摩耗物が剪断面に留まるような剪断摩擦実験を行って,より自然に近い条件下で摩耗物の生成量を規定する要因を調査する.
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