Project/Area Number |
23K13215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 悠治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50895919)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 塑性変形 / 結晶欠陥 / 分子動力学法 / ナノインデンテーション / pop-in現象 |
Outline of Research at the Start |
構造材料の軽量化には革新的な機械的特性制御が必要であるが、特性制御のためには材料中の微視的スケールにてどのような現象が塑性変形の素過程として生じているのかを精査し、材料の塑性変形機構を微視的レベルから根源的に理解することが必須である。 本研究課題では分子動力学法による原子シミュレーションに基づき、結晶欠陥-塑性変形の相互作用の理解を目指す。微視的スケールでの塑性変形現象であるナノインデンテーション中のpop-in現象の発生における、材料中の結晶欠陥の影響の解明を目的とし、pop-in現象発生時の材料中の原子論的描像、pop-in現象の発生荷重、pop-in現象の発生規模分布の観点から解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は体心立方(BCC)構造を有する純鉄を対象とし、内部に結晶欠陥として原子空孔や結晶粒界を導入した直方体状の解析モデル(以下それぞれ空孔モデル、粒界モデルと記述する)を作成し、(100)結晶面に対して球状圧子を押し込むナノインデンテーションMD解析を実施した。まず空孔モデルについては、圧子の中心軸上のモデル表面から1 nmの位置に1つの空孔を導入したモデルとし、粒界モデルについては、圧子の中心軸を含む面に{120}Σ5粒界を導入した双結晶モデルとした。 ナノインデンテーションMD解析において最初に生じるpop-in現象(第一pop-in)の発生時の転位核生成の描像を観察すると、空孔モデルでは欠陥以外の箇所から複数の転位が同時に生成しており、欠陥のない完全結晶の場合と同様の均質転位核生成が生じていることが確認された。また第一pop-inの発生規模を荷重-変位曲線上における荷重低下量を指標として算出したところ、以前解析した完全結晶の場合と大きな差異は見られなかった。一方で粒界モデルでは、導入した粒界から単一の転位が生成したことから、粒界を媒介とした不均質転位核生成が生じたとみられる。第一pop-inの発生規模も完全結晶や空孔モデルの場合と比較して著しく小さくなった。 以上から当該年度の解析で用いたモデルでの転位核生成と第一pop-inに及ぼす結晶欠陥の影響としては、空孔モデルでの結果は完全結晶のそれと大きな差異はない一方で、粒界モデルでは粒界を媒介とした転位の生成が生じたことから、粒界による影響は陽に出ていることが確認された。いずれのモデルでも、影響をより具に見るには空孔の個数や分布/粒界の種類や分布を変更したモデルでの解析が必要であるため、これらを次年度にて実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶中の既存欠陥として原子空孔や結晶粒界を含むモデルに対するナノインデンテーションMD解析の基盤を整備し、ナノインデンテーション中における転位の生成および移動およびそれに起因するpop-in現象における、空孔と結晶粒界の影響の調査に着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
空孔についてはその個数や分布を変更し、また結晶粒界については種類や分布を変更したモデルに対してナノインデンテーションMD解析を実施し、pop-in現象や転位の活動に及ぼす影響を調査する予定である。また押し込み面に関しては(100)面に加え、(110)、(111)面での場合も解析を行う。 また各モデルについて第一pop-in発生時における転位核生成の最小エネルギー経路解析を行い、活性化エネルギーを算出する。この活性化エネルギーを基に、確率数理モデルより第一pop-inの発生荷重の確率分布を算出する。また空孔と粒界が共存する場合についても同様の流れの解析を実施し、両欠陥の共存による影響についても考える。次に各モデルでのナノインデンテーションMD解析を通じてpop-in現象の発生規模を算出し、第一pop-inと後続pop-inとに分けて分布を獲得する。またMD解析中のpop-in発生間の転位の挙動(第一pop-inでの転位の生成や後続pop-inでの転位網の発展の仕方)や、Mises応力とすべり系における分解せん断応力分布の変化を観察し、pop-in現象発生時の転位の移動に対する空孔・粒界の寄与についても明らかにする。 さらに面心立方(FCC)構造を有する銅も対象とし、同様の解析を実施する。
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