電磁界形態制御に基づく誘電体薄膜の電磁誘導探傷法の開発
Project/Area Number |
23K13220
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 航 京都大学, 工学研究科, 助教 (70975424)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 誘電体薄膜 / 電磁誘導試験 / 変位電流 / 電磁シールド / 薄膜 / 誘電率 |
Outline of Research at the Start |
電磁誘導試験 (EIT)の適用範囲は,導電体から誘電体へと拡張され,欠陥の検出や誘電率の測定などに用いられている.しかし,本手法を厚さ10 μmオーダーの誘電体薄膜に適用した研究例はない.これは,誘電体の寸法縮小に伴い誘起される変位電流が減少するため測定が困難になることによる.本研究では,適切な位置への導電体の配置によるEITの検出能向上の物理的な機構を解明・利用し,誘電体薄膜の物性 (誘電率)を測定可能なEITを開発することを目的とする.本手法が確立されれば,炭素繊維強化樹脂表面に残留した離型剤の検出など,これまで 不可能であった微小構造体の非破壊検査・物性評価への応用が期待できる.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では厚さ10 μmオーダーの誘電体薄膜の誘電率を評価可能な電磁誘導試験(EIT)の開発を目的として,(1)誘電体薄膜の誘電率を測定可能な密接平面スパイラルコイルの開発,(2)誘電体端部を導電体で遮蔽したEITシステムの開発,及び(3)炭素繊維強化樹脂(CFRP)表面に残留した離型剤の検出の3つの段階に分けて研究を進めている.本年は,(1),(2),(3)に対して,有限要素解析を用いて研究を進めた. まず,(1)について,10μmの薄膜に対してアンペール・マクスウェルの法則に基づく電磁界解析を行うことで,円柱状コイルに対してこれまでの研究で適用してきた密接平面スパイラルコイルの有効性を示した.密接平面スパイラルを適用することで誘電体薄膜上の広範囲に変位電流分布を作り出すことが可能となり,10μmの誘電体薄膜の測定も行うことができる可能性がある. つぎに,(2)について,10μmの薄膜に対して同様の解析を行うことで,導電体による電磁界閉じ込め効果の有効性を示した.通常,励磁コイルの面内寸法に対して大きさが小さい試験片は,端部効果により正確な測定が困難となるが,試験体を導電体で囲むことで端部効果を抑制し,測定感度が改善する可能性を示した. 最後に,(3)について,CFRP上に厚さ10μmの誘電体薄膜を作製した解析モデルに対して同様の解析を行うことで,CFRPの積層構成が誘電体薄膜上に誘導する変位電流に影響を与えることを示した.CFRPは積層構成によって厚さ方向に渦電流および変位電流が潜り込むが,この潜り込みにより誘電体上に誘導する変位電流が減少することを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで,当初の計画通り,概ね順調に研究を進めることができている. 昨年度は,有限要素解析ソフトを導入することで解析をメインに研究を進めることを年度の初めに報告した.導入した有限要素解析ソフトは,申請者がこれまでの研究でメインに使用してきたものであり,導入後は順調に解析を実施することができた.本研究では,これまでの研究とは異なり,測定対象である誘電体の寸法と励磁コイルなどの寸法が大きく異なるため,適切な解析を実施するために解析モデルの作製に工夫が必要であったが,試行錯誤することによって妥当な解析を実施することができるようになった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,前年度までに実施した解析結果を基にして実験をメインに研究を進める. まず,前年度までに検討したEITシステムを構築する.EITシステムを構築するためには,励磁コイルの作製と,試験系の設計が必要となる.励磁コイルの作製では,従来の研究で適用されている円柱形状コイルおよび,本研究で提案する密接平面スパイラルコイルを作製する.円柱形状コイルは,銅線を巻いて作製するのに対して,密接平面スパイラルコイルはスパッタリングにより作製する.試験系の設計では,新たに波形発生器およびロックインアンプを導入することに加えて,薄膜をコイルに対して水平に把持することが可能なステージを設計する.本研究の測定対象は誘電体であるため,測定の影響を鑑みてステージは樹脂で作製し,そのために,必要に応じて高精度で複雑形状の樹脂製品を印刷可能な3Dプリンタを適用する. つぎに,誘電体薄膜の誘電率測定を行う.厚さおよび誘電率の異なる誘電体薄膜を用意し,以上で設計したEITシステムを適用する.厚さに応じたEITの出力変化を取得し,本手法の適用限界について検討する. 最後に,CFRP上に塗布した離型材の検出を行う.一方向積層,直交積層,擬似等方積層等の積層構成が異なるCFRPを作製し,これらに対して離型剤を塗布することで,離型剤が残留したCFRPを作製する.これらの試験片に対して,以上で設計したEITシステムを適用することで離型剤の残留可否の検出可能性について検討する.
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)