Project/Area Number |
23K13224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
早瀬 知行 青山学院大学, 理工学部, 助教 (40897633)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | Thermal Barrier Coating / Residual stress / X-ray elastic modulus / Spalling stress / Thermal barrier coating / residual stress / X-ray diffraction / delamination |
Outline of Research at the Start |
TBCのはく離寿命の把握はガスタービンの安全な運用に向けて重要な課題である。しかし、TBCのはく離寿命の実態であるき裂発生・進展機構は、き裂の起点となる空孔やき裂長さが熱サイクル中の焼結や応力変化などにより複雑に変化する事から不明である。本研究では、熱サイクル中に局所的な応力と微視組織をその場観察し、TBCのはく離損傷の実態であるき裂発生・進展機構を明らかにする。また、その場観察の結果を反映した弾塑性FEMにより強度予測法を確立し、遮熱性と高耐久性を両立したTBCの設計手法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ガスタービンなどに用いられる遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)は溶射によって成膜される熱効率向上に欠かせない表面改質技術である.しかし, 溶射皮膜は積層過程などで大規模き裂の発生や強度低下の原因となる残留応力を生じる.残留応力の簡便な評価方法としてX 線回折法は有効であるが,格子ひずみと応力の変換係数であるX線弾性定数が不可欠である.溶射皮膜のX線弾性定数は機械的弾性定数を上回ることが報告されている.この要因として粒子のすべり変形や, 空孔の影響も示唆されているが, 詳細な要因は不明である. そこで本研究では気孔率や粒子の密着度合いの異なる材料のX 線弾性定数を測定し, X 線弾性定数に及ぼす影響を明らかにする.申請者らはTBC ・基材一体材の4 点曲げを用いてTBC 各層のX 線弾性定数を測定した. その結果, 大気プラズマ溶射したTBC および中間層であるボンドコート(BC)においては,As-sprayed材においていずれもX線弾性定数が機械的弾性定数を上回った. 一方,大気中熱処理を施したBCについても評価したところ,X線弾性定数は機械的弾性定数と同様に上昇したものの,その上昇幅はわずかであり,機械的弾性定数との差に着目すると,機械的弾性定数に近づく傾向を示した.また,HVOFにより成膜された緻密なBCではAs-sprayed材でX線弾性定数が機械的弾性定数とほぼ一致しており,熱処理に伴う機械的弾性定数の上昇に比例してX線弾性定数が上昇した. 以上の結果より,粒子間の結合の弱い溶射皮膜のみでX線弾性定数の上昇が認められており,このことから溶射粒子間のすべり変形がX線弾性定数の上昇に支配的であることを明らかにした.得られた知見は,予測式構築に向けて重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は1年目であり,基材一体材の曲げに基づく機械的・X線的物性値の測定を主に進める予定としている.それに対し,実績として基材一体材の曲げによるX線弾性定数の評価法を確立し,またその手法を用いてTBC・BC各層のX線弾性定数を評価した.また,実際の熱サイクルでは高温暴露が施されるが,高温暴露を想定した熱処理材でのX線弾性定数も評価した.その結果,X線弾性定数に及ぼす微視組織の影響が明らかになり,溶射粒子間のすべり変形が支配的であることが分かった.今後の高温環境中でのX線残留応力の評価では,粒子間のすべり変形をパラメータとしてX線弾性定数を推定できると考えられる. 以上のように,2年目以降の熱サイクル試験を行う際に重要なパラメータの測定および推定法の評価ができたため,進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,研究計画に沿って下記の研究を推進する. ・超音波曲げ疲労試験に基づく一定温度環境下におけるはく離機構評価 片持ちした短冊状基材一体材に一次曲げ振動を加え一定温度下で高サイクル疲労試験を行い,はく離寿命の測定を行う.この際,加振電圧を変えることで皮膜に生じる応力振幅を変化させる.応力の測定はX線及び中性子回折を用いて行う.その際,任意の振幅で途中止めしX線CTを用いてその場観察を行う.これにより,はく離までのき裂発生・進展過程を観察し,TBCにおける複雑な破壊機構を検討する.また,温度を1100℃まで変化させながら測定し,き裂発生・進展の温度依存性も明らかにする. ・熱サイクル試験およびFEM数値解析に基づく実稼働環境下におけるはく離機構評価 図4のように測定対象にX線を照射し,その回折角の変化から応力を評価する.高エネルギー放射光を用いて皮膜内部の応力を測定することで,三次元的な応力分布を測定する.また,積層板理論に基づく熱応力モデル2)や数値解析モデル1)用い,TBC表面の応力と変位から簡便に応力分布を推定する評価法の構築を試みる.このような残留応力測定を熱サイクル疲労試験中に行い,破壊までの応力変化を評価し,X線CTを用いた三次元組織観察も同時に行う.得られた結果を②の一定温度下での超音波疲労試験結果と比較し,焼結,クリープ変形,熱応力によるき裂進展特性の変化を明らかにする.観察した微視組織,および熱サイクル中のき裂進展を反映したFEMモデルから,残留応力変化機構を明らかにする.すなわち,試験結果から得た各損傷因子の変化を反映したFEMモデルを構築し,TBCにおける損傷の各因子と強度と破壊機構の関係性を体系的に明らかにする. 最後に,それらを用いて強度・寿命予測法を構築する.
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