Project/Area Number |
23K13245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
本田 拓朗 大分大学, 理工学部, 講師 (50850161)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 回転軸シール / エラストマ / 複合材料 / セルロースナノファイバ / 水潤滑 / シール / 防水 / トライボロジー / 親水性 / エラストマー |
Outline of Research at the Start |
軸受けやシールなどの摩擦部品における低摩擦化が期待されると同時に、潤滑油の低粘度化やオイルレス化といった貧潤滑環境への適応が求められている。本研究では、貧潤滑となりやすい防水密封条件に対して、“にじみ”を利用して“すべり”を促進しつつ、漏らさない、境界潤滑を想定した新しい“ウォーターシール”を開発する。また、防水用途で得たノウハウを既存のシールの性能向上に応用することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
回転軸シールにおけるシールリップの潤滑性能は回転軸の低トルク化やシール寿命に大きく影響する.また,潤滑液として作用すべきは,密封対象流体そのものであり,油潤滑に頼ることができない水環境では,シールリップの潤滑が困難となる.そこで,密封対象として水を想定し,水潤滑によるシールリップの低摩擦化と長寿命化を目指すために,親水性エラストマを母材とする複合材料からなるシールリップの開発と性能評価を行った. シールリップにおける摩擦と漏れをコントロールする要素として,シールリップが軸に与える緊迫力とシールリップによる水(潤滑液)の保持が重要であり,親水性エラストマと親水性ファイバからなる複合材の配合組成について調製することで,適切な保水状態をつくりだし,許容可能な“にじみ”によって,滑らかで安定した“すべり”運転する条件を模索した.今回,親水性ファイバとして用いたセルロースナノファイバの場合,複合材料のヤング率はわずかに向上し,添加濃度よりも繊維長(繊維の解繊形態)による差異がみられた.また,電子顕微鏡観察から,親水性ファイバの添加が母材の多孔質構造を変化させ,静水圧下でのシールリップの保水性(透過抑制)に影響したと推定された.シールリップの運転中の摩擦挙動,漏れ挙動をリアルタイムで把握するための可視化試験装置を新たに設計製作し,既存のシール試験装置との併用評価を行った.さらに一部予定を前倒しして,シールリップ形状を成形するための打抜き加工装置を作製し,シールリップ寸法形状の追求を行った.これの結果比較により,各パラメータの理想値の蓄積がなされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シールリップ母材に添加するセルロースナノファイバが材料剛性にもたらす効果については想定とは異なる結果になる反面,親水性や保水性の向上につながり,にじみ(漏れ)の促進になっている結果が判明した.にじみをコントロールする材料組成について,シールリップの形状設計を含めて,さらなる試行錯誤が必要となった.また,シールリップの可視化装置の設計構造に大きなエラーはないが,想定よりも視野が悪く,改良を要する.緊迫力の測定については装置設計準備が遅れているが,次年度に軌道修正を図る.また,一部先行しているバルク材からの形状加工については,計画リードを維持したい.
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Strategy for Future Research Activity |
母材の親水性エラストマに添加するセルロースナノファイバの配合効果について,更なる検証を進めるため,引張強度や保水性について実験比較をすすめる.同時にシールリップとしての機能を確認するため,成形方法や形状設計を含めたシールリップ試作し,シール性能試験を繰り返す.多角的な評価を行うための,緊迫力測定装置の自作や可視化装置の改良についても当初計画を満たすように進めていく.
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