Project/Area Number |
23K13267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
結城 光平 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 助教 (00963563)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 伝熱フィン / 急冷 / 浸漬冷却 / 液体窒素 / 冷却時間 / ポーラス体 / 沸騰熱伝達 / 超伝導限流器 / 毛管力 / 超伝導復帰時間 |
Outline of Research at the Start |
沸騰冷却はその高い冷却能力から,超伝導限流器の冷却法として期待されている.超伝導限流器は短絡事故電流を抑制する役割を持ち,既存機器の交換が不要で費用対効果が大きいが,限流素子として利用される高温超伝導線材に関して,「事故後0.3 s以内に200 K以上急冷する」という要求から実現されていない. 現在までに、ポーラス体により沸騰冷却性能を向上させ世界最速の0.5 sの急冷を達成したが、そのメカニズムは不明であった. そこで本研究では,ポーラス体の狭隘部に着目した新たな仮説を導入し,ポーラス体による冷却液の保持・供給の影響とそのメカニズムを解明することで,ポーラス内沸騰伝熱モデルの構築を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
極低温機器の配管の予冷や生体細胞の急速凍結では液体窒素による急冷時の沸騰伝熱促進が重要となる.そこで本研究では,沸騰伝熱の妨げとなる蒸気膜が発生した際にも冷却液の保持・供給が可能なT型の特殊フィンを提案し,その冷却性能を実験により評価した. 加熱体は幅4 mm,厚さ0.3 mmのSUS304製の平板であり,T型特殊フィンは0.8 mm間隔で加熱平板上に厚さ55 μmのエポキシ系接着剤を介し接合される.液体窒素に浸漬した試験体を45 Aの電流により通電加熱した後の試験体の冷却開始温度と冷却時間(加熱終了後から再度77 Kに冷却されるまでの時間)の関係を取得した.2023年度は特にT型フィンの空隙部高さをパラメータとし0.5,1.0,1.5 mmとした. 実験の結果より,T型フィンを接合しない場合に対し,T型フィンを接合することで冷却時間をおよそ1/3まで短縮することが示された.可視化実験により当初の予想通りT型フィンの空隙部に液体が保持される様子が確認された.更に,空隙部高さが0.5 mmの場合には伝熱面積の拡大効果が最も小さいにもかかわらず,冷却時間が最短となった.これは,フィン空隙部が小さいことで周囲で発生した蒸気が空隙部に入り込みにくくなり液体保持量が増加したためであると考えられる.これにより冷却液の保持と供給効果が冷却性能に対して大きな影響を与えることが示された.また,T型フィンにより蒸気膜が分断され気泡の離脱周期が短くなることも明らかとなり,膜沸騰の崩壊の促進にも効果的であることが示された.一方,試験体の冷却開始温度がある値を超えると急激に冷却性能が低下する傾向が見られた.これは試験体の温度が高くなり表面で発生する蒸気膜が厚くなることでフィンの空隙部に蒸気が入り込み冷却液の保持効果が失われたためであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,実験装置と評価方法の確立に加え当初の予定通りT型フィン内の保持液体の可視化に成功している.更に,フィンの接合間隔と空隙部高さをパラメータとした実験を一通り終了し,液体保持の限界メカニズムについて検討中である.冷却性能に関しても冷却時間が従来の1/3まで短縮できており,本成果は2024年度の5月に学会で報告予定であることからも本研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は以下の(1)~(3)の実施内容により構成されており,それぞれの推進方策を示す. (1) 冷却液「保持」の影響とメカニズムの解明【2024年度】:現在までにフィン空隙部に液体が保持されることを可視化により確認しており,当初の予定通り今後はCFD解析を援用しメカニズムの解明を行う. (2) 冷却液「供給」の影響とメカニズムの解明【2025年度】:ここでは,フィンを重ねることで上部に保持される冷却液が発熱部に供給されるメカニズムを解明する.沸騰の可視化により2段目フィンからの冷却液の経路を確認すると共に,CFD解析により供給経路が形成される要因を明らかにする.また,1段のみのフィンの冷却性能と比較することで定量的に上部フィンの影響を評価する. (3) 沸騰伝熱モデルの構築による構造最適化と性能の実証【2026年度】:上記(1)と(2)により高度化したCFD解析を援用することで沸騰伝熱モデルを構築し,冷却性能の向上に向けてポーラス体の最適化を目指す.最適化の際には実験も並行して行うことで実験で得られた知見を数値解析にフィードバックしながら進める.
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