Project/Area Number |
23K13277
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
比留田 稔樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20963979)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
|
Keywords | 誘電エラストマーアクチュエータ / 振動試験 / モード解析 / 静電吸着 / 青果物熟度評価 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は小型かつ非破壊な青果物硬さ評価システムの自動化を実現するため,誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)によるソフトロボティクス技術を複合した構造加振システムを構築する.収穫後の青果物の品質評価は未だ人の力に依存する部分が多く,有効な機械化手法を実現することが求められている.品質評価指標の一つである青果物の硬さは,振動試験に基づいてその周波数応答を解析することにより推定可能である. DEAを用いた加振源は,非破壊な振動試験を遂行可能とする.システムを自動化するためにはソフトロボティクス技術の適用が有効であり,各構造を最適化することで対象青果物に有効な加振力を与えられることを実証する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は青果物熟度評価のための,ソフトアクチュエータを用いた構造加振システムの構築とロボティクス技術との統合を目指す.柔軟で複雑な形状を有する青果物の加振には,ソフトアクチュエータの一つである誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)の適用が有効であると考えられる.DEAは柔軟性と伸縮性に優れていることに加え,駆動時の変形量と応答速度が優れており,振動応用に適している.将来的な青果物振動試験システムの自動化を目指すためには粘着剤や接着剤を用いないDEA加振デバイスの取り付け手法が求められている.そこで今年度の研究成果として静電吸着技術を適用し,電気的な吸着力によって取り付いたDEAを用いて構造加振を行い,その有効性の検証を行った.従来のDEAに対し,静電吸着に必要な静電気力を発生させる柔軟電極を適用することで提案するアクチュエータを構築した.振動試験における対象構造物はパイプ構造とし,まずDEAを従来通り粘着剤により取り付け加振の有効性を確認した.また,アクティブ制振手法を適用することでパイプ構造の振動を抑制できることを示し,曲面構造に対するDEAの振動デバイスとしての有効性を示した.次に,提案する静電吸着を適用したDEAを用いてアルミニウムを材料としたパイプ構造の振動試験を行った.電圧の印加によって,提案するDEAが対象に吸着することを確認した.DEA加振を適用し周波数応答を解析した結果,2kHz程度の高周波帯域を含めた共振ピークを確認することができ,静電吸着によって対象に取り付いたDEAが加振力を有効に伝達できることを示した.一方で,DEAに用いる電極材料に導電性高分子を用いることにより,加振時の発熱量の減少を確認した.今後のDEAグリッパとの統合を目指し,位置決め精度の向上などを目的としてDEAグリッパのアクティブ振動制御を行い,その有効性を示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
追熟過程を有する青果物の熟度は硬さと相関があることが知られており,果実の共振周波数により推定することができる.本研究では,DEA構造加振技術をグリッパ機構および静電吸着技術を統合することにより,青果物を対象とした振動試験の自動化が可能な加振システムの構築を目的としている.有効な提案システムを構築するためには,適切な電極の構造により発生する静電気力に基づく十分な吸着力を発生させ,対象青果物に加振力を伝達させるDEAを構成する必要がある.さらにDEAが対象に接近するようにグリッパとしての動作をさせる必要があり,加振デバイスの機能と統合できるような構造の検討が必要である.提案システムの構成後,青果物を対象にその有効性を検証する.2023年度はまず,DEA加振に静電吸着技術を適用することの有効性を検証した.DEAによる加振と静電吸着を同時に作用させるためのアクチュエータ構成手法を提案し,アルミニウム製のパイプ構造に適用したところ,提案手法の有効性を確認できた.DEA内部の電極材料の検討を行い,導電性高分子を用いることによって加振性能を低下させることなく,振動する DEAの発熱を抑制できることを示した.一方で,DEAグリッパの動作の性能向上技術を目的として振動制御適用の有効性を実証した.その過程で,DEAグリッパの振動特性解析を行っており,今後のDEA加振技術との統合につながる技術を構築した.以上より,申請時の計画に沿って本研究は概ね順調進んでいるということができ,次年度では提案するシステム構築の完遂と,青果物の加振への適用の有効性の検証に取り組む予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は申請時の計画の通り,DEA構造加振技術とグリッパ機構および静電吸着技術を統合したアクチュエータを用いて青果物の振動試験を行い,その有効性を評価することを目標とする.まず,静電吸着に用いる電極の形状を,有限要素シミュレーションにより吸着力が最大となるように最適化する.対象が青果物である場合,内部の構造が均一ではなく電気的な特性も複雑となる.適した電極の構成を検討するには,青果物内部に含まれるイオン溶液に関連する導電性もしくは誘電率の特性を検討する必要があり,シミュレーションにも反映する.最適化された形状に基づいて電極を成形する技術を構築し,対象構造物への吸着効果を高めたアクチュエータを構成する.DEA加振技術と静電吸着技術の統合の有効性は2023年度の研究成果にて実証したため,今後はこれとグリッパ機構を統合する.提案するアクチュエータは,加振力,吸着力,グリッパ動作にそれぞれ関連するエラストマーおよび電極などを積層することで構成できると考えられる.また,それぞれの層に関して有効な機械的構成と入力する電気信号を検討する必要がある.特に今後統合する計画のグリッパ機構はエラストマーの積層構成の影響を強く受けるため,超弾性モデルによるモデル化や有限要素シミュレーションにより変形を予め推定することで,有効なグリッパ動作をする提案アクチュエータを構成する.提案アクチュエータを用いて青果物の振動試験を遂行し,青果物の振動特性を計測する.また,提案するアクチュエータは着脱が容易となることが期待できるが,得られる振動特性に再現性があることを確認する必要がある.青果物の硬さ評価においては,共振周波数が重要となるため加振を行うたびに共振ピークを得ることができるかを確認する.そして得られる周波数応答が信頼できることを示した後,青果物の硬さ評価を行い本研究の提案手法の有効性を示す.
|