磁気随伴エネルギーに着目した磁気デバイスの導通損失定式化技術の確立
Project/Area Number |
23K13324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
白川 知秀 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 講師 (50881132)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 銅損解析 / 電力用高周波トランス / DC-DCコンバータ / 並列巻線 / 巻線損失 |
Outline of Research at the Start |
スイッチング電源回路は小型・高効率化のために次世代半導体を用いた高周波化が進められている。一方で高周波では近接効果による電流の偏りが起こり,磁気デバイス損失が増加する傾向がある。この近接効果のメカニズムは複雑で予測が難しく,実用的な設計ツールとして高速な損失解析手法が求められている。 本研究では磁気随伴エネルギーと磁界分布の関係性に着目した新しいアプローチを基に薄膜かつ並列接続された巻線へ適用可能な損失解析技術を開発する。提案手法はデバイス構造と損失の関係を直接的に理論式で表現でき,定量的な評価の簡略化や磁気デバイスの研究開発や損失発生メカニズムの解明に新たな視点を与えることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目的は磁気随伴エネルギーに着目した独自の銅損解析原理の有効性の実証となっている。これまでの研究で厚みのある巻線に対しては十分に有効性があることが確認されているが,薄膜巻線に同原理を適用した事例に対し有効性が検証されていない。これを受けて本研究では,汎用性の確保を目指し,薄膜巻線に解析原理を適用する手順の提案・実証を行う。 R5年度までは新たな解析手順の有効性をシミュレーションと比較し検証すること,および実験用コイルの設計までを目標としていた。 結果として解析結果とシミュレーションに十分な整合性が確認できため,R6の3月に開催された 電気学会九州支部 高専研究講演会にて「並列巻線を用いた高周波トランスの銅損解析手法の提案」というタイトルで成果を報告した。 コイルの設計についても予定に大きな遅れはなく進んでおり,設計値をもとにR6の前半をめどに計測対象となるコイルを完成させる予定となっている。構造としては上記の講演会にて発表した構造と同じものとし,理論計算,シミュレーション,実測の三つを比較し,解析の妥当性の検討を進める。 当初予算の使い道としてインピーダンスアナライザを想定していたが別の手段にて同等品を入手する予定が生まれた。したがって,当該予算については,より効果的な研究推進のため,オシロスコープや電力測定器など他の計測機器の更新に割りあて,測定機器の精度を向上させることによる実験結果の信頼性の確保を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記述した通り,新たに提案した解析手順についてはシミュレーションと整合的であった。シミュレーションは簡易的なものであり,トランスを同軸モデルに近似した二次元モデルとして解析している。対して,実際にコイルを作成した場合,完全に同軸モデルと同じ構造にはできず,ある程度の誤差要因が懸念される。一方で本研究の解析手法の立ち位置としては,数値の絶対的な精度を求めているわけではない。実際の開発現場ではいくつもの構造を高速に比較し最適化するための簡易的な解析ツールが必要とされている。損失のオーダー感がおおむねあっており,相対的な損失の大きさの比較ができれば本解析の役割は十分に果たしているといえる。したがって,最低限の精度保証はできていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実際にトランス等の磁気部品を作成し,実測することが必要となる。本研究で扱う磁気部品は特別に複雑な構造のものはなく,一般的な手法で容易に作成可能である。 また,計測機器についても本助成金により最低限の環境を整えることができると想定しており,問題なく計画が実行できると考えている。 銅損については基本的にはインピーダンスアナライザを用いて計測し,電流については助成金で購入した電流プローブ等を用いて計測する。信頼性の担保のためプローブを接続するオシロスコープの更新も検討している。 また,最終段階のコンバータ効率の検証時に必要な電力計の精度が不足することを懸念しており,総合的に判断して必要な計測機器の更新に費用を充てる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)