Project/Area Number |
23K13326
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
喜久里 浩之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70828152)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 電力系統解析 / 安定度解析 / 電力潮流計算 / 機械学習 / 電力系統 / 潮流計算 / 動揺方程式 |
Outline of Research at the Start |
電力系統の安定度解析は、電力の安定供給を保つために必要な技術であるが、再生可能エネルギーの導入により、より詳細な電力系統モデルが必要となり、計算量が増加している。この問題に対し、機械学習の応用が提案されているが、学習データに依存し、保守的な電力系統運用において十分な信頼が得られていない。そこで、物理的な動特性を機械学習に融合した安定度解析手法を開発し、高速化と学習データへの依存度軽減を目指す。電気的な整合性を持った求解が可能になることから、異なる電力系統の解析にも利用できる汎用性が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、電力系統の安定度解析における計算速度の向上と学習データ依存度の軽減を実現することである。これは、再生可能エネルギーの増加に伴い必要とされる詳細な電力系統モデルへの対応と、安定供給の強化に直接貢献するものである。具体的には、機械学習技術と電力系統の物理特性を統合した新しい安定度解析手法を開発することに重点を置いた。 2023年度には、電力潮流計算の機械学習による解法の開発に取り組み、電力系統の各地点の電圧や電流を算出する潮流計算に物理情報を考慮した機械学習モデルを適用した。このプロセスにおいて、複数の機械学習手法を用いて電力潮流計算を代替する方法を実装し、その結果、機械学習手法による電圧精度と改良の余地を確認することができた。具体的には、異なる電力系統モデルや太陽光発電の導入条件に応じて電圧推定精度を検証し、どの条件で電圧精度が低下し、どのように改良すべきかの指針を明らかにした。 さらに、通常の機械学習では推定値と教師データとの誤差を損失関数に設定し、その値を最小化するように学習する方法が一般的であるが、本研究では電力系統の物理情報を追加した損失関数を導入し、学習プロセスに組み込むことで電圧推定精度を向上させることができた。このアプローチにより、学習モデルは実際の物理システムにより密接に対応することが可能となり、予測の正確性が向上した。 この研究成果は、電力系統の安定性評価において、物理法則に基づく機械学習の有効性を示すものであり、その適用により解析の精度向上と計算効率の改善が期待される。これにより、再生可能エネルギーの導入が進む現代の電力ネットワークにおいて、より迅速かつ信頼性の高い電力供給システムの運用が可能となる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に計画されていた潮流計算と動揺方程式の機械学習による解法開発は、予定通りに進行し、複数の機械学習手法を用いた新たな解法の実装と初期の検証を終えることができた。具体的には、物理情報を考慮した機械学習モデルの適用により、電圧推定精度の初期評価と改良点の特定が行われ、電力系統モデルの構成や太陽光発電の導入条件に応じた精度検証が進行中である。 また、電力系統の物理情報を追加した損失関数の導入により、機械学習プロセスの精度が向上し、予測性能の改善が確認された。これにより、潮流計算の解法開発が実用的な段階に入る見込みであり、計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、まず電力系統の潮流計算および動揺方程式に対する機械学習モデルの精度向上を図るため、異なる電力系統モデルや再生可能エネルギー源の導入条件に基づく詳細な検証を実施する。これにより、モデルの挙動を分析し、精度を高めるための改良策を実装する。また、電力系統の物理法則を反映した損失関数をさらに精緻化し、計算アルゴリズムの見直しを行い、効率の向上を目指す。さらに、多様な電力供給シナリオと負荷変動を取り入れたシミュレーションを通じて、モデルの応用範囲を広げ、再生可能エネルギーの増加や消費動向の変化に適応する電力システムの構築を目指す。最終的には、研究成果を学術誌や国際会議で発表し、外部のフィードバックを取り入れることで、研究の社会への還元を図る。これらの方策を通じて、電力系統の安定性評価における機械学習の利用とその効果をさらに深めることを目指す。
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