Project/Area Number |
23K13346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
広瀬 真 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (30908760)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 波面制御 / 分割鏡 / 合成開口 / 最適化アルゴリズム / リモートセンシング / 補償光学 / MEMS / 波面計測 |
Outline of Research at the Start |
地球周回軌道上で複数の望遠鏡開口を光学的に合成し,衛星リモートセンシングの大幅な高分解能化を図る構想がある.この構想を実現するには,地表面の観測シーン情報のみにもとづき,望遠鏡開口間の位相合わせを行う波面制御法が必要である.SPGD法は,静止画を観測する系では有効な逐次波面制御法であるが,観測シーンに移動体が含まれる場合には機能しない問題があった.本研究ではSPGD法に移動体検出技術を導入し,移動体がもたらすシーン変化の影響を受けない新たな波面制御法を提案する.そして,MEMS形状可変鏡を備えた合成開口結像系を構築し,地表面の空撮動画像を観測する系において,提案手法による合成開口を実現する.
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Outline of Annual Research Achievements |
提案手法による合成開口実験に向けて、分割鏡結像光学系の構築と、SPGDアルゴリズムによる波面制御プログラムの作成を進めた。結像光学系の構築では、分割鏡システムを模擬するためにセグメント型の形状可変鏡を導入した。この分割鏡デバイスには、37個の六角形マイクロミラーが備えられており、各マイクロミラーの裏面には3個ずつMEMSアクチュエータが配置されている。これらのMEMSアクチュエータを制御することにより、分割鏡間のpiston-tip-tilt波面誤差をナノレベルで制御することができる。この分割鏡デバイスの前後に複数の光学素子を配置して、遠方の観測対象を望遠撮像する分割鏡結像光学系を構築した。そして、点光源を観測して取得した点拡がり関数から、期待される結像特性が得られていることを確認した。次に、SPGDアルゴリズムにもとづく分割鏡波面制御プログラムを実験系に実装した。この測定プログラムでは、CMOSイメージセンサによる画像出力からSPGDアルゴリズムの評価関数を計算し、MEMSアクチュエータへの指示値を更新するまでの処理が反復的に実行される。この実験系において点光源に対する37分割鏡間のpiston-tip-tilt制御を実施したところ、50 nm rmsの初期piston-tip-tilt波面誤差が13 nm rmsにまで補正された。この実験結果から、作成した制御系の動作に問題がないことが確認されたと言える。また、複数枚の観察像の強度分布から結像光学系の波面誤差を推定する手法として、シーケンシャル位相ダイバーシティ法を提案し、その有効性を計算機シミュレーションと光学実験を行うことにより確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動画像を撮像対象とした分割鏡波面制御の実験準備が整ったと言えることから、おおむね順調に進展していると判断できる。分割鏡デバイスを備えた結像光学系の構築は当初の計画に沿って進んでおり、これまでに光学応答評価までを終えている。地上シーンを撮像したときの信号対雑音比は想定よりも低い値であったが、分割鏡デバイス駆動時にSPGDアルゴリズムの評価関数に有意な差が生じることは確認できた。また、結像光学系に含まれる波面誤差量を推定する手法として、シーケンシャル位相ダイバーシティ法の有効性を確認した。SPGDアルゴリズムでは波面誤差を直接検出することができないため、波面精度の評価手法を確立できた意義は大きい。SPGDアルゴリズムの開発については、計算機シミュレーションによって分割鏡piston-tip-tilt波面制御の最適化パラメータを探索した後、実験系の測定プログラムとして実装するまでの進捗が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
動画像を観察対象とする分割鏡波面制御へと移行するため、分割鏡デバイスのMEMSアクチュエータ駆動と、動画像のフレーム送り量を同期して制御できる波面制御プログラムを作成する。そして、液晶ディスプレイに投影された動画像を任意のフレームレートで再生しながら、SPGDアルゴリズムにもとづく37分割鏡間のpiston-tip-tilt波面制御を試みる。このとき動画像の再生速度は、近年の光学リモートセンシングで見られる程度の撮像レート相当とする。液晶ディスプレイに投影する動画像には、ヘリコプターから地表面を空撮して得た30 fpsの動画データを用いる。そして、これらの動画像に対して分割鏡piston-tip-tilt波面制御の収束性や到達波面精度を評価する。波面精度の評価手法としては、昨年度に実証されたシーケンシャル位相ダイバーシティ法などを用いることを検討している。なお、使用予定の動画像には被雲状況が時間変化する様子なども記録されている。撮像シーンに含まれる多様な構造的特徴を活用し、分割鏡結像光学系における波面制御性能と撮像シーンの空間構造の関係を明らかにすることを試みる。
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