Project/Area Number |
23K13367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 拓真 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (20827711)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | GaN / MOSFET / 界面欠陥 / 膜中欠陥 / 移動度 / キャリア散乱 / 信頼性 |
Outline of Research at the Start |
窒化ガリウム(GaN)は、パワーおよび高周波デバイス応用に適したワイドギャップ半導体である。スイッチングデバイスとして、ノーマリオフと高電圧動作を両立できるGaN 金属-酸化膜-半導体(MOS)デバイスが期待されている。しかし、GaN MOS構造界面におけるキャリア散乱機構の理解は十分に進展していない。本研究では、異なる界面構造を有するGaN MOSデバイスの電気的評価および物理分析を通じ、移動度制限要因の理解を目指す。これにより、高性能GaN MOSデバイスの実現に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
GaNは広いバンドギャップや高い絶縁破壊電界等の優れた材料物性を有し、高周波動作可能なパワーデバイス材料として注目を集めている。本研究は、異なる界面構造を有するGaN MOSデバイス(MOSキャパシタおよびMOSトランジスタ)の詳細な電気特性評価および物理分析を通じて、トランジスタの移動度制限要因・キャリア散乱機構を理解し、デバイスの性能向上指針を確立することを目的としている。本年度(研究初年度)は、GaN MOS界面の課題である正孔トラップの起源解明と低減手法確立に取り汲んだ。まず、波長を変えた光照射C-V測定により、応答の遅い絶縁膜中トラップと速い界面トラップの分離評価に成功した。その結果、絶縁膜堆積後の酸素アニールは膜中トラップの低減には有効であるが、界面トラップの低減効果は限定的であることを指摘した。一方で、この頑固な界面トラップ低減には、GaN基板のMg濃度増加が有効であることを発見した。MgはGaNのp型ドーパントであるが、ドーパントとして活性化していない場合にもトラップ低減に有効であることを見出している。このことは、欠陥低減が基板のフェルミ準位変化(形成エネルギー変化)によるものでなく、Mg原子そのものによるパッシベーション効果に起因することを示唆する。以上のように、初年度からGaN MOSデバイスの性能・信頼性向上に重要な知見を得ている。また、研究成果発信にも精力的に取り組み、学術論文および学会発表にて既に上記成果を公表済である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、当該年度(初年度)は界面構造を変えた試料水準を準備して、GaN MOSトランジスタの作製水準を決定することを目標にしていた。しかし、既にGaN MOS構造の基礎的な評価に取り組むことで、膜中トラップと界面トラップの分離評価に成功し、GaN MOS構造の根強い課題である正孔トラップの低減を達成している。具体的には、膜中トラップ低減には絶縁膜堆積後の酸素アニールが有効であり、界面トラップ低減にはGaN基板のMg濃度増加が有効であることを見出した。以上のことから、初年度からGaN MOSデバイスの性能・信頼性向上に有用な知見が得られている。なお、成果発信にも精力的に取り組んでおり、研究成果は、学術論文2件(いずれもAppl. Phys. Express誌)および学会発表(国際学会2件、国内学会2件)にて既に発表済である。以上のことから、「(1)当初の計画以上に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように、初年度はGaN MOS構造の電気的評価に注力することで、応答の遅い膜中正孔トラップおよび速い界面トラップを分離評価し、これらの制御指針を確立した。次年度(最終年度)も、引き続きプロセス条件を変えて作製したMOS構造(SiO2/GaN構造)の基礎的評価に取り組み、MOS構造の電子・正孔トラップの正体に迫るデータを蓄積したい。この際は、電気的評価だけでなく、X線光電子分光(XPS)などの物理分析も有効活用することで、界面の構造や化学結合状態をミクロに解析する。これにより、原子レベルでMOSデバイスの特性を制限する欠陥の起源を議論したい。また、絶縁膜形成条件を系統的に変えたGaN MOSトランジスタを実際に作製し、その移動度特性やストレス応答の評価を通じて、MOSデバイスの性能・信頼性の決定要因を探る。以上の研究を通じて、GaN MOSデバイスの性能・信頼性の向上指針確立を目指す。
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