Project/Area Number |
23K13373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多川 友作 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (20962517)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 有機光検出器 / 大気安定性 / フレキシブルセンサ / ウェアラブルデバイス / 生体計測 |
Outline of Research at the Start |
有機光検出器(OPD)は生体や環境の計測に適した軽量柔軟性及び広い検出波長を有するため、次世代エレクトロニクスの有望な候補である。優れた受光感度及び検出波長領域の拡大を目指した研究がなされてきた一方で、実環境(太陽光、大気、温度変化、機械応力など)での複合的な劣化要因下での長期的安定性を有するOPDもまた、実用上重要である。そこで、とりわけ光や電子に敏感なOPDの電子輸送層に着目し、電子輸送層と隣接する界面・バルクトラップの終端のための分子構造を最適化する。有機太陽電池などで決められる劣化試験プロトコルに準拠した複合的劣化環境下でも長期的に安定な、OPDの設計指針構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
有機光検出器(OPD)は生体計測・環境計測に適した軽量柔軟性及び広い検出波長を有するため、次世代エレクトロニクスの有望な候補である。優れた受光感度を有する研究がなされてきた一方で、実環境(光、大気、温度変化、機械応力など)での複合的な劣化要因下での長期的な安定性を有するOPDは未だ報告がない。そこで、本研究では、光と電子による劣化の激しいOPDの電子輸送層に着目し、分子量の適切な材料設計を行うことで、多角的な安定性に関するデバイス設計指針の構築を目指す。 初年度は、まず2つの異なる材料を合成して電子輸送層の溶液を作成した。2つの異なる材料は、一方が固定材料で他方が分子量の異なる材料である。固定の材料と、ある分子量の材料を内蔵原子のモル比に着目して条件を振り、OPDの特性として重要な暗電流と光電流が最も低くなるような条件を最適化した。上記の最適化を5つの分子量で繰り返し行い、それぞれの分子量で適切な最適化条件が再現性良く判明した。 次に、大気安定性についてを調査した。20℃40%RHで暗所大気保存下のOPD特性劣化を経時的に追跡し、最も特性の劣化しにくい条件について系統的に調査したUPSや接触角測定、XRDや透過率計測、さらにはインピーダンス分光法などを用いたトラップ密度計測により、大気劣化メカニズムについても体系的に調査した。 更に、フレキシブルな基板上においても最適化した5つの条件のOPDを作成し評価を行った。ガラス基板上の初期特性に比べて、光電流は遜色がないことを確認したが、暗電流が若干高いため、引き続き膜厚条件などをスピンコーティングなどで変更し、ガラス基板上と同等の特性を達成したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった電子輸送層の初期特性における条件最適化が完了し、安定性についての議論に移行できている。加えて、大気安定性について概ねその劣化傾向を示すことができており、他の劣化条件についても順次測定をすることで評価が可能である。 更に興味深いことに、OPDの劣化特性が電子輸送層で変化することについて、電気的な測定を追加して丁寧に追跡することで、今まで明らかにできなかった劣化特性と電気的な挙動の関係を明らかにできつつあり、副次的な実験成果として重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で初期特性における最適化は完了した。今後は、光・熱・機械的な劣化メカニズムについて、同様に調査を行い、電子輸送層の分子量が劣化やデバイス特性に与える影響について、物性物理の観点から調査を進める。必要であれば、劣化前後での電子輸送層/活性層界面の特性をNANO-SIMSなどの破壊的計測により調査する。
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