Project/Area Number |
23K13374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石橋 未央 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (10907380)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 磁壁移動 / スピン波 |
Outline of Research at the Start |
二つの磁化が反平行に結合した系では、磁化の回転方向が右回りと左回りの二つの伝播モードが存在する。これら右回りと左回りの反強磁性スピン波は、右円偏光と左円偏光の電磁波で選択的に励起可能であり、磁化に異なる作用を及ぼすと考えられる。 本研究では、反強磁性スピン波を用いた新たな磁化制御手法の開発を目指して、選択的に励起した右回りの反強磁性スピン波と左回りの反強磁性スピン波が、磁化に与える影響を実験的に明らかにする。まず、磁化方向の検出が容易なフェリ磁性体を用いて実験を行う。さらに、ノンコリニア反強磁性体でも同様の実験を行い、ノンコリニア反強磁性体の反強磁性スピン波と磁化との相互作用を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
スピン波はジュール熱を発生しない情報媒体としてスピントロニクス分野において期待されており、これまで隣り合う磁化が平行に結合した強磁性体におけるスピン波の研究は数多くなされてきた。一方、隣り合う磁化が反平行に結合した系を伝播するスピン波を反強磁性スピン波と呼ぶ。本研究では、反強磁性スピン波による磁化制御を主題としている。検出手法は磁気光学Kerr効果顕微鏡を用いた磁壁移動の観測、扱う系は、当初、磁化方向の検出が容易な希土類と遷移金属の磁化が反平行に結合したフェリ磁性体としていた。しかしながら、フェリ磁性体の光応答がスピン波由来であるかということを判別することは予想以上に難しく、人工反強磁性体などのコリニアな反強磁性を示す他の系に対象を拡大して反強磁性スピン波の挙動を調査した。また、そのなかで、昨年度は、人工反強磁性面内磁化膜中を伝播するスピン波の挙動についてマイクロマグネティックシミュレーションを行い、コリニアな反強磁性スピン波についての理解を深めた。さらには、Pt下地上に成膜されたフェリ磁性GdFeCo合金垂直磁化膜を用いて、フェリ磁性垂直磁化膜における電流磁壁駆動の挙動を系統的に調査、及びスピン軌道トルクによる磁化反転と電流駆動磁壁移動を組み合わせたレーストラックメモリにおける磁壁の位置エラーを磁気光学Kerr効果顕微鏡を用いて得られた磁区画像から評価するなど、レーストラックメモリの開発において重要となる成果を上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
希土類と遷移金属から成るフェリ磁性体を用いた実験では、光誘起の信号がスピン波由来であるかの判別が予想以上に難しいことがわかった。そこで、今後は人工反強磁性体など他の反強磁性を示す系についても候補として研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、材料を希土類と遷移金属からなるフェリ磁性体に限らず、反強磁性磁化ダイナミクスを示す、ノンコリニア反強磁性体や人工反強磁性体などの系も対象にして研究を行う。
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