Project/Area Number |
23K13418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 22050:Civil engineering plan and transportation engineering-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐津川 功季 金沢大学, 融合科学系, 講師 (40867347)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ゲーム理論 / 交通サービス / 交通システム / 交通制御 / 進化ゲーム理論 / Nash均衡 / シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
近年のモビリティサービスの発展は利用者の移動目的や交通サービスの価値に多様な異質性を生み出しうる.加えて,サービスレベルの変動や利用者の選好構造の変化が指摘されているように,中長期的には異質性そのものが進化しうる.異質性が交通システムに与える影響を解明することは,近未来交通システムの合理的な制度設計に不可欠な課題である.本研究は,進化ゲーム理論を基盤とし利用者・交通サービスの異質性進化がシステムに及ぼす影響とそのメカニズムを解析する手法を確立する.そして,混雑を解消する短期的な交通制御と,利用者・交通サービスの異質性パターンを社会的に効率の良い状態へと導く長期的な交通計画に関する知見を得る.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,交通サービスの多様性や交通利用者の各サービス選好・意思決定などの異質性が交通システムに及ぼす影響とそのメカニズムを解析することを目的とする.そして,交通システムを社会的に効率の良い状態へと導く交通制御・計画に関する知見を得る. 本年度は,都市で運用される多様な交通サービス(e.g. バス,鉄道,シェアリングサービス)と異質な利用者選好を含むシステムを解析する数理モデルを構築した.そして,利用者選好の異質性を踏まえて有限の交通サービスを効率的に割り当てるメカニズムの開発に取り組んだ.ここでは,サービス容量制約下において,利用者がサービス評価値・価格等に基づき自身の効用を最大化するよう利用サービスを選択する戦略型ゲームを定式化した.次に,割当サービス評価値の合計を最大化する社会的効率な状態を実現するためのメカニズムを,オークション理論に基づき設計した.また,現実で生じる不確実性を考慮して,サービス容量が確率的に変動する状況や利用者がリスク回避的に行動する状況におけるメカニズムの数理的性質を検証し,耐戦略性・効率性などの望ましい特性が保たれることを確認した.以上より,利用者選好・運用サービスの異質性を所与としてシステム性能やベンチマーク状態を解析する理論基盤を得た. 並行して,利用者の意思決定の異質性が持つ影響について,動的交通流理論の出発時刻選択問題の安定性分析から考察を深めた.本トピックでは,利用者全体が共通した出発時刻の変更基準(i.e. 進化ダイナミクス)を持っているとき,均衡状態が不安定化することが知られている.本研究では,個別利用者が自身の置かれた状況に応じて異質的な変更基準を有する状況を考えた.そしてこの状況では,交通状態が均衡状態へと大域的に収束することを証明した.すなわち,利用者の意思決定の異質性が交通状態の安定化に資する可能性があることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,利用者選好・交通サービスの異質性を所与として,交通システム性能を解析するための数理モデル構築や,ベンチマーク状態を実現するためのメカニズム設計を行なった.最終年度で取り組む予定であった交通制御方策に関する研究も部分的に前倒しで行えている.また,意思決定の異質性が交通システムに及ぼす影響について安定性の観点から知見を得ることにも成功している.加えて,これらの成果は既に査読付き論文雑誌・国際会議に投稿済みである(一部採択決定済み).以上より,本研究課題において一年目に実施しておくべき内容は順調に進められていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,交通サービスの運用パターン進化やそれに応じた利用者選好の異質性進化に関する研究に取り組む予定である.この際には,他学術分野での関連研究のレビューも行いながら,異質性やその進化に関する知見を整理する必要もあると考えている.その結果も踏まえて,数理モデルの構築やその理論解析・数値分析を行う予定である.
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