Project/Area Number |
23K13437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八百山 太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (60913407)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | サロゲートモデル / 時刻歴応答解析 / 耐震工学 / 深層生成モデル / 性能規定型耐震工学 / AI駆動 / 弾塑性時刻歴応答解析 / 深層学習 |
Outline of Research at the Start |
性能規定型耐震工学の枠組みの高度化においては,局所損傷に資する精緻な応答評価,たとえばフレームモデル等の弾塑性時刻歴応答解析が重要な役割を担う.一方で,普及性向上の観点からは,その計算負荷を低減することが重大な課題である.本研究では,高次元データの取り扱いに優れる深層生成モデルを駆使し,弾塑性時刻歴応答解析を代替する汎用サロゲートモデルを構築することを目的とする.これは,応答時刻歴を直接出力可能であり,構造物に依らず適用可能なモデルの構築を試みる点に画期性がある.その成果は,AIによって高速化・高効率化する次世代の性能規定型耐震工学(AI駆動型耐震工学)へと展開していく可能性が期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
性能規定型耐震工学の枠組みの高度化においては,局所損傷に資する精緻な応答評価,例えばフレームモデル等の弾塑性時刻歴応答解析が重要な役割を担う.一方で,普及性向上の観点からは,その計算負荷を低減することが重大な課題である.そこで本研究では,高次元データの取り扱いに優れる深層生成モデルを駆使し,弾塑性時刻歴応答解析を代替する汎用サロゲートモデルを構築することを目的としている. 初年度は,研究項目①「AdaIN による時刻歴応答のサロゲートモデルの構築」を実施した.ただし,使用する手法に若干の変更を加えている.関連研究のサーベイの結果,計画時に想定していた深層生成モデルと類似の構造を有するモデルが,マルチモーダル変分オートエンコーダ (MVAE) として精力的に研究されていることを知ったためである.そこで,本年度では,AdaIN をベースに据える当初の計画を変更し,MVAE に基づき,時刻歴応答解析のサロゲートモデルを構築することを試みた. 本研究課題におけるマルチモダリティとは,データが応答時刻歴それ自体に加えて,それを励起した入力地震動の特性や,構造物の特性(剛性等のパラメータ)といった様々な側面(=モダリティ)を有することに対応する.本年度は基礎的な検討として,入力地震動に関しては固定とし,応答時刻歴(の入力地震動に対する周波数応答関数)および部材パラメータの二つもモダリティを対象とした,MVAE の構築を検討した.簡単な例題として,柱の部材寸法に対して三層フレームモデルの層間変形角を予測する問題を設定し,学習を実行したところ,まだ精度や効率面での改善点を有するものの,概ね妥当な予測が可能であることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,初年度は,研究項目①「AdaIN による時刻歴応答のサロゲートモデルの構築」を実施する予定であった.そこで想定されているモデルは,入力地震動と構造部材パラメータのそれぞれを,ニューラルネットワーク (Encoder) によって低次元の特徴量へと次元圧縮し,これらを統合することによって(入力地震動のスタイルを応答のスタイルへと変換することによって)応答時刻歴を出力するという構成であった. 一方で,文献調査の結果よく類似した構成を有すると判明した MVAE を用いれば,次のような構成において応答時刻歴の出力が可能となると想定される.すなわち,入力地震動・部材パラメータ・応答時刻歴の三種のデータ(=三つのモダリティ)を,Encoder によって共通の特徴量空間(潜在空間)へと射影し,Decoder を用いて応答時刻歴へと再変換するような構成である.これにより,所与の入力地震動・部材パラメータに関し,応答時刻歴を出力可能なサロゲートモデルが実現されるものと期待できる. 初年度は,まず入力地震動を固定し,ある部材パラメータに関して対応する応答時刻歴を出力可能なサロゲートモデルの構築を試みた.基礎的な例題として,三層の平面フレームの層間変形角を予測する問題を検討したところ,応答時刻歴を振幅・位相とも概ね精度良く再現できることが確認された.ただし,工学上重要なピーク値(最大層間変形角)の予測精度はやや課題があり,入力パラメータによっては大きなバイアスが生じてしまう例も散見されている.今後解決すべき課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
2024 年度以降において取り組むべき課題は次のとおりである.まず,引き続き入力地震動を固定した条件において,予測精度(特にピーク値に関して)を向上させることが課題である.これに対しては,MVAE モデルのアーキテクチャを見直す必要がある.具体的には,(i) 層やノードの数を増やし,より表現力の豊かなモデルとする,(ii) Batch Normalization や Dropout, Residual Network といった,精度向上への効果の知られているアーキテクチャ・正則化手法を検討する,(iii) Decoder を,VAE よりも生成の質に優れる敵対的生成ネットワーク (Generative Adversarial Networks, GANs) に変更する (VAE-GAN) などの方策が考えられる. 上記で概ね良い結果が得られれば,次に,入力地震動を説明変数に加えて応答を予測するモデルの構築に取り組む.MVAE を用いてこれを実現する場合,予測の際に,異なる二つのモダリティ(入力地震動及び部材パラメータ)を考慮する必要がある.そのような問題は,機械学習のコミュニティですでに多く検討されており,Product of Experts (PoE) や Mixture of Experts (MoE) といった方法がありうる.さらには,当初の研究計画にあったとおり,AdaIN を MVAE のアーキテクチャと併用することも考えられる.これらの手法を比較検討しつつ,入力地震動・部材パラメータに関し応答予測が可能なサロゲートモデル構築を,2024 年度内には実現する予定である.
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