Project/Area Number |
23K13495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 24010:Aerospace engineering-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 健人 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (40911011)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 流体力学 / ニューラルネットワーク / 衝撃波 / 乱流 / AI / データ解析 |
Outline of Research at the Start |
超音速旅客機の飛行によって発生する衝撃波という圧力が不連続的に変化する波を崩壊させる静音な超音速旅客機の開発への貢献を目指す.そのためには崩壊が発生する条件やその原因を明らかにする必要があり,本研究ではそれらを明らかにする.この現象を調査するにあたり,昨今の発展目覚ましいAIによるデータ解析技術を用いることで,従来の解析では困難であった衝撃波崩壊現象のメカニズムの解明を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
衝撃波を検知するためのAIモデルを深層学習により構築した.教師データの収集には一様等方性乱流中を伝播する垂直衝撃波に関する直接数値計算を用い,三次元データを用いた.入力データを圧力と速度の2チャネルとし,衝撃波に垂直な方向の連続した一次元のデータを抽出した.ベクトルのサイズは256である.一方,正解データは257次元のベクトルで入力データの中に衝撃波が存在していればその位置に1,それ以外の位置に0を代入したベクトルで,入力データの中に衝撃波が存在していない場合は257番目の要素に1を,それ以外の要素に0を代入したベクトルとした.ニューラルネットワークの種類は畳み込みニューラルネットワークと呼ばれるものを用いており,構造は残差ブロックと呼ばれる構造を用いることで多層化に成功したResNet50のものを流用している.従来は衝撃波の検知に関しては有限差分を用いて計算された圧力や速度の勾配の最小値を用いて行われてきた.しかしながら,最小値を取る位置を一律で衝撃波と定義するので,局所的に勾配が崩壊する場合に誤検知が発生する.そこで,ニューラルネットワークを用いた選択的な衝撃波面の検出を可能にすることで衝撃波崩壊現象を調査する足がかりを作ることができると考えている.学習とテストを行い,ある程度の精度での検知は可能となっているが,十分な精度とは言えないので,改善が必要である.ここまでの成果に関しては2024年1月にアメリカのオーランドで行われたAIAA Scitech Forum 2024にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニューラルネットワークによる教師あり学習は問題設定,データ収集,学習,推測という4つのステップを踏んで実施される.問題設定は入力データと正解データをどのように作成するかということであるが,本研究においては圧力と速度の一次元データを入力とし,衝撃波の有無と位置を判定できるように正解データを作成した.データ収集は垂直衝撃波と一様等方性乱流の干渉に関する直接数値計算を実施し,三次元データを取得した.学習データは一次元データに設定しているので,三次元データから抽出して入力データを作成した.学習はグラフィックボード搭載のワークステーションによって行っている.現状では局所崩壊した衝撃波面の検出精度が不十分であるが,学習のスキームを確立することはできたので,進捗状況としては概ね順調であると考えている.精度の不足に関しては学習データ数の不足に起因するものと考えている.学習においては衝撃波面が崩壊しないような条件のデータを選んでいる.衝撃波が崩壊するような場合においては,逆に衝撃波が著しく強くなるような箇所も存在している.そのような場合の波形は衝撃波が崩壊していない条件では現れないので,モデルが衝撃波を検出できないというケースが有ることを確認している.次に,衝撃波ではない場所を衝撃波であると判定するケースも存在している.これはデータを規格化している関係で入力データの数値を考慮できておらず,データ内に不連続的に変化する箇所がある場合に衝撃波であると誤解する場合に該当している.これらの問題に対処して精度を向上することが今後必要になってくると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの取り組みで学習して推測するというスキームを構築することはできているので,予測精度の向上が当面の目標である.そのために最も重要になるのは学習データの充実である.現状の問題点のうち最も大きなものは衝撃波が強まった場合に検出できない場合があることである.これは学習に用いるデータを圧力勾配などを用いて選定することで解決できると考えている.現在の学習では一時刻の三次元データから衝撃波を含むようにランダムに抽出しているため,極端に衝撃波が詰まるような発生確率の低い分布を学習に含められていない可能性がある.そこで,勾配が大きくなるようなケースは必ず学習に含まれるように抽出することで,精度の改善を試みたいと考えている.次に,衝撃波でない場所を衝撃波であると誤検知する場合に関しても,ひとまずは学習データの充実で対処できると考えている.衝撃波においては圧力や速度が不連続的に変化するので,データ内の平均値などの衝撃波を含むか否かもしくは衝撃波の背後か前方かで大きく変化するような量を学習に含めることで解決できると考えている. 衝撃波の検出精度が十分になれば,衝撃波が崩壊している箇所と維持されている箇所で場合分けを行い,それぞれの物理的な状況の解明と崩壊する原因の調査を実施する予定である.解析においては崩壊が起こっている衝撃波面の幾何学的な性質をまず調査する.このときに変形量だけでなく,曲率や位相幾何学的な解析手法を導入したいと考えている.その後,圧力の上昇量の変化といった物理的な性質について明らかにする.
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