Project/Area Number |
23K13500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 24010:Aerospace engineering-related
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
小田切 公秀 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (50866481)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 宇宙機熱制御 / 極低温熱設計 / ループヒートパイプ / 凝縮熱流動 / 気液相変化 |
Outline of Research at the Start |
多様な天文衛星に共通して、観測機器の冷却要求が厳しさを増している。そこで本研究は、電力を用いずに高効率な極低温冷却を実現する「極低温相変化型パッシブ冷却器」を提案し、内部凝縮熱流動の理解に基づく設計理論の確立を目的とする。具体的には、流動様式・ボイド率・温度分布の同時計測によって、低質量流束条件の凝縮熱伝達メカニズムを明らかにし、動作温度80 K級の極低温ループヒートパイプの高精度な熱流動モデルを構築する。さらに、4K熱真空環境において極低温相変化型パッシブ冷却器の特性評価を行い、熱数学モデルを検証することで、研究目的を達成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
X線・赤外線・電波天文と多様な宇宙科学ミッションに共通して、観測機器の冷却要求が厳しさを増している。このような背景に対して本研究は、電力を用いずに高効率な極低温冷却を実現する極低温相変化型パッシブ冷却器を技術実証し、設計手法を確立することを目指す。冷却器は、極低温ループヒートパイプ(CLHP)と高放射率ラジエータを組み合わせることで無電力・大排熱を実現する。本研究では、技術実証に向けて特に重要となる、低質量流束条件の凝縮熱伝達メカニズムを、流動様式・ボイド率・温度分布同時計測によって解明することを目的とする。さらに、この知見に基づいてCLHPの高精度熱流動モデルを構築し、宇宙熱環境における相変化型パッシブ冷却器を実証し、モデル検証によって設計理論を構築することを研究目的とする。 2023年度は、主に低質量流束流の凝縮熱伝達メカニズムの解明に取り組んだ。具体的には、凝縮流動様式と熱伝達メカニズムの関係を明らかにするため、凝縮流動可視化装置を含む窒素CLHPシステムを構築した。極低温熱真空チャンバ内で高倍率CCDカメラを用いて、凝縮流動観察を試みた。その結果、世界に先駆けてCLHP内部の凝縮流動の撮像と温度の同時取得と、凝縮器におけるスラグ流、波状流、層状流の遷移過程の撮像に成功した。窒素蒸気の質量流束は、CLHP蒸発器の熱負荷を変化させることによって調整可能であり、各質量流束条件でのデータを取得した。本試験結果とCLHP定常熱流動モデルの比較により、従来の凝縮熱伝達性能の予測式で流動遷移条件を決定していたパラメータ(We数)を修正し、より精度の高い凝縮流動予測が可能となった。これによって、本研究の最終ゴールである極低温相変化型パッシブ冷却器の熱輸送・放熱特性をより高精度に予測する数値解析モデルの基礎を構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、本研究のうち第一に挑戦性の高いポイントであったCLHP内部の凝縮流動可視観察に世界に先駆けて成功し、内部の凝縮流動遷移過程を捉えたこと、可視観察結果および温度情報の同時取得によって従来の凝縮熱伝達予測式を修正したこと、これによってCLHPの熱輸送・放熱特性の高精度な予測が可能になる数値解析モデルを構築できたことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、さらなるCLHP内部の熱流動理解のために、観察部の蒸気体積割合を静電容量型ボイド率計を用いて計測し、凝縮流動可視観察結果と併せた体系的なデータ取得に取り組む。また凝縮器の冷却方式を、4K吸熱板との輻射熱交換方式へと変更し、最終目的である極低温相変化型パッシブ冷却器のシステムレベルでの原理検証を実施する。これらの実験結果をフィードバックしたCLHP定常熱流動モデルを用いて、2025年度に実施予定のパッシブ冷却器と衛星小型スケールモデルを組み合わせた供試体の熱数学モデルを構築する予定である。
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