Project/Area Number |
23K13553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
大江 耕介 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 客員研究員 (90965609)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ゼオライト / 走査透過電子顕微鏡法 / 最適明視野法 / 低ドーズ観察 / 走査透過電子顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
ゼオライトは、ナノサイズの細孔が規則配列した骨格構造を有する多孔質材料である。この特異な原子構造を利用して、ゼオライトは触媒やイオン交換剤・分子篩など工業的に幅広く利用されている。しかし、ゼオライトは電子線照射に対してきわめて耐性が低く、電子顕微鏡を用いた構造解析が困難だった。本研究では、従来手法と比較して大幅に高い感度を有する最適明視野電子顕微鏡法を用いることによって、ゼオライト結晶構造ならびに材料特性発現機構を原子スケールで解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ゼオライトは規則配列したナノサイズの細孔を有する多孔質材料である。その特異なフレームワーク構造から、触媒機能やガスの吸着・分離、イオン交換など多様な材料特性が発現する。これらの特性はホストとなるゼオライト骨格とゲスト物質であるイオンや分子との局所的な相互作用によって生じるものである。したがってゼオライトでは、結晶構造に含まれる原子配列に加えて、ゲスト物質が局所的にどのように存在しているのかを明らかにすることが材料特性発現メカニズムを明らかにするうえで重要である。このようなローカルな原子構造を可視化する手法としては、透過電子顕微鏡(TEM)が強力な手法として用いられる。しかし、ゼオライトは電子線照射に対する耐性の低い電子線敏感材料として知られており、通常の観察条件では直ちに結晶構造が損傷する。このような電子線敏感試料の観察を目的として、我々は走査型TEM(STEM)の新規イメージング手法として最適明視野(OBF)STEM法の開発を行ってきた。OBF法は従来手法と比較して約100倍程度の感度を有しており、照射損傷を低減できる低電子照射条件においても高いコントラストで原子構造を可視化できる。そこで本研究では、この極めて高い感度を有する電子顕微鏡法であるOBF STEM法を活用したゼオライト骨格構造中の局所原子構造、また骨格構造とゲスト物質との相互作用について、原子スケールでの直接観察に基づいた研究を進める。しかし、これまでの研究からゼオライトの原子構造観察にOBF STEM法が有効であることは示されつつあったが、どのような観察条件であれば原子スケールの情報を最大限引き出すことができるのかという点については未解明であった。そこで、系統的なSTEM像シミュレーションおよび得られた画像の系統的な評価を行うことによって、ゼオライト観察に最適なSTEM観察条件の検討および実証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統的なSTEM像シミュレーションおよびその解析を通じて、OBF STEM法を利用してゼオライトを観察する際に最適な結像条件の検討を行った。その結果、高コントラストなゼオライト原子配列像を得るうえで最適な電子プローブの収束角を見積もることができた。その結果、通常の無機結晶物質を観察する場合と比較して、ゼオライト観察では小さな収束角すなわち大きなプローブ径がOBF像の高感度化に大きく寄与することが明らかとなった。これはポーラス材料であるゼオライトは比較的疎な原子配列を有しているためであると考えられ、他の多孔質材料試料の観察へも応用できる知見であると考えられる。さらに、同条件を用いることによって、実験的にゼオライトの原子配列を可視化した実験データを取得することに成功した。上記のような結果が得られていることから、研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた知見はゼオライトの原子構造を電子顕微鏡によって解析するうえで一般的に有用な知見であると考えられるため、国際論文誌への投稿に向けた準備を進めている。また、さらなるゼオライトの原子スケール研究として、イオン交換を行った試料のOBF STEM観察データの解析を行う。これによって、局所領域から得られたOBF STEM像からゼオライトの骨格構造とゲスト物質の相互作用に関する情報の取得を試みる。
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