Project/Area Number |
23K13608
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
SEO JIEUN 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (90957854)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | 毛髪再生 / 低酸素適応誘導因子 / 発毛活性 / 発毛メカニズム / 毛髪 / 毛乳頭細胞 / HIF-1 |
Outline of Research at the Start |
毛髪が毎日伸長する毛包組織では、髪の毛そのものに変化する上皮系細胞と、指令を出している間葉系細胞の間の相互作用が重要とされている。申請者は、男性型脱毛症患者の毛包では、低酸素誘導因子(HIF-1a)の発現が低下していることをinformaticsにより見出した。また、毛乳頭細胞(間葉系細胞)を培養し、HIF-1aをノックダウンしたところ、発毛関連遺伝子の発現も低下することを確認した。HIF-1aは低酸素下で発見され命名されたが、実はその制御範囲は広く、また未解明の部分も多い。本研究では、男性型脱毛症におけるHIF-1a低下メカニズムを解析することにより、新しい男性型脱毛症治療薬へと展開する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
毛髪が毎日伸長する毛包組織では、髪の毛そのものに変化する上皮系細胞と、指令を出している間葉系細胞の間の相互作用(上皮-間葉相互作用)が重要とされている。毛包組織は、皮膚表面で観察が容易ということもあり、様々な組織の代表モデルとして活発に研究されている。また、膨大な数の男性型脱毛症患者が存在することも研究活動が活発な要因となっている。申請者は、男性型脱毛症患者の毛包では、低酸素誘導因子(Hypoxia-inducible factor-1 alpha, HIF-1a)の発現が低下していることをBioinformaticsの手法により最近見出した。そして特殊化した間葉系細胞である毛乳頭細胞を培養し、HIF-1aの発現をノックダウンしたところ、発毛関連遺伝子の発現も低下することを確認した。HIF-1aは低酸素下で発見され命名されたが、実はその制御範囲は広く、また未解明の部分も多い。本研究では、毛包におけるHIF-1aの役割を明らかにするとともに、毛髪再生医療のためのHIF-1a活性剤の効果を検討する。当該年度は、毛乳頭細胞を2次元培養し、HIF-1a活性剤が及ぼす発毛関連遺伝子発現変化の評価を中心に行った。その結果、HIF-1a活性剤は2次元培養した毛乳頭細胞における発毛関連遺伝子レベルを上昇させることを分子生物学的手法により明らかにした。また次年度の研究準備として、毛乳頭細胞の3次元培養の最適化を行った。3次元培養は、生体内環境に近いと言われ、今後、毛乳頭細胞を3次元培養させ、HIF-1a活性剤の効果を評価する予定である。これにより、全く新しい男性型脱毛症治療薬へと展開するとともに、上皮-間葉相互作用を基盤とするほぼすべての組織の形態形成に関与するメカニズムの解明に迫る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
毛乳頭細胞を一般的な培養ディッシュで2次元培養(2D)し、HIF-1a活性剤が及ぼす発毛関連遺伝子の発現レベルの変化を評価した。まず、毛乳頭細胞へのHIF-1a活性剤の添加濃度を、細胞数カウントと発毛関連遺伝子の発現レベル確認(RT-qPCR)を用いて最適化した。次に、最適化されたHIF-1a活性剤添加濃度を用い、毛髪関連遺伝子の発現レベル変化をmRNA、タンパク質レベルで確認した。その結果、HIF-1a活性剤を添加すると毛髪関連遺伝子レベルが有意に上昇することが確認できた。 また、次年度の研究準備として、毛乳頭細胞の3D培養(スフェロイド培養)の予備検討を行った。毛乳頭細胞は典型的な2D培養では、非生理的な応答を示すことが知られている。そこで、3D培養することで、生体に近い微小環境を再現できるので、毛乳頭細胞の3D培養のために、毛乳頭細胞の細胞数を最適化した。
|
Strategy for Future Research Activity |
毛乳頭細胞を3次元培養(3D)し、HIF-1a活性剤の及ぼす効果を、発毛関連遺伝子レベル確認より評価する。 まず、細胞非接着培養プレートを用いて毛乳頭細胞スフェロイドを形成させる(済み)。次に、HIF-1a 活性剤および予備実験で使用したsiRNAを添加し、転写因子の発現変化をproteomicsにより網羅的に解析する。この網羅解析データは、HIF-1と発毛関連遺伝子、シグナル経路などの解析に用いることで、毛包におけるHIF-1aの役割を明らかにするとともに、男性型脱毛症患者におけるHIF-1aの低下メカニズムの解析に利用する。さらに、HIF-1a活性剤による毛乳頭細胞スフェロイドの発毛関連遺伝子の発現をELISA、qRT-PCR、Western blotting、免疫蛍光染色で確認する。 当初計画したマウス実験が、研究期間内の承認を得られない場合、オルガノイド実験へ代替し、HIF-1a活性剤の効果の確認を行う。 以上により、HIF-1に着目した毛包形態形成の新しい学理を創出するとともに、男性型脱毛症の新しい治療法の提案へと展開する。
|