毛髪再生医療のためのヒト毛乳頭細胞の重層化培養法の開発
Project/Area Number |
23K13615
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
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Research Institution | Kanagawa Institute of Industrial Sclence and Technology |
Principal Investigator |
エン 雷 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 「毛髪再生医療実証グループ」, 研究員(任期有) (20966105)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 毛髪 / 再生医療 / 毛乳頭細胞 / 幹細胞培養 / エクソソーム / 毛髪再生 |
Outline of Research at the Start |
毛髪は生命維持に必須ではないが、脱毛や薄毛に悩む人は多く、再生医療のニーズは世界的に大きい。再生医療では、万能細胞や幹細胞から臓器細胞を高効率に分化誘導する技術が進められている。毛髪再生医療においては、毛乳頭細胞や毛包上皮幹細胞の大量培養が課題となっている。本研究では、毛乳頭細胞の毛髪再生能の向上に、従来の考え方にない高密度重層化培養法が有効であることを発見した。この技術により、幹細胞の大量調製が可能になり、毛髪再生医療の実用化に期待される。本技術は世界的にも独自のものであり、再生医療の中核技術として、新しい治療法の進歩や国民の健康増進などに大きな波及効果が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
脱毛症は生命には直結しないものの、外見に与える影響は大きく、進行するとしばしば自尊心やメンタルヘルスに深刻な影響を与える。男性型脱毛症と呼ばれる疾患の治療には、男性ホルモンの還元酵素を阻害する薬剤が効果的であり、自毛植毛という外科的処置も行われている。しかし、これらの治療法では脱毛の進行を抑えることはできても、毛髪を再生させるのは難しいとされている。そのため、細胞そのものを利用した再生医療が注目されており、特に毛髪再生医療では後頭部の毛包組織から幹細胞を取り出し、生体外で増殖させた後、脱毛部に移植する方法が研究されている。
そこで、我々は生体外で細胞を増殖させる過程における独自の培養技術である重層化培養法を開発した。この技術により、毛乳頭細胞の機能を維持しながら増殖させることに成功し、国際特許を取得した。毛乳頭細胞は毛包内でヘアサイクルを制御しており、この技術により高い活性を持つ毛乳頭細胞を得ることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
このプロジェクトでは、脱毛症患者の毛包組織から毛乳頭細胞を採取し、培養フラスコを用いて一般的な継代培養を行った。その結果、毛乳頭細胞の発毛関連遺伝子であるALPやVersicanは数回の継代でほぼ消失した。培養期間を30日まで延長し、ヒト毛包由来の毛乳頭細胞の機能を維持しながら増殖培養可能な重層化培養技術の確立に取り組んだ。その結果、細胞は重層化し、初期の20倍まで増殖した。また、発毛関連遺伝子の発現変化において、培養フラスコ(2D)で培養された毛乳頭細胞と比較して、ALP遺伝子の発現が大幅に改善された。従来、毛乳頭細胞はスフェロイドを形成することで機能が回復することが知られていたが、スフェロイドを形成すると増殖しないという問題があり、重層化培養では、細胞数を増加させつつ、発毛関連遺伝子の発現も大幅に改善されることが示された。発毛プロセスは複雑であり、いくつかの発毛関連遺伝子の発現だけでは細胞の発毛活性を完全に評価することはできない。そこで、我々は重層化培養したヒト毛乳頭細胞をマウス胎児由来の上皮系細胞と混合し、マウスの皮下に移植するパッチ試験を行った。その結果、培養5日目の毛乳頭細胞と比較して、重層化培養の毛乳頭細胞の発毛効率は約7倍に向上した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、重層化培養の原理解明を取り込み、また臨床研究に向けて、生物由来原料基準に対応済の培地により重層化培養か可能かどうかを確認していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)