Project/Area Number |
23K13619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹熊 晴香 京都大学, 化学研究所, 助教 (20974661)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | プラズモニクス / 無機ナノ粒子 / 金属間化合物 / 規則合金 / 局在表面プラズモン共鳴 / 可視プラズモン / 可視プラズモニクス |
Outline of Research at the Start |
局在表面プラズモン共鳴(LSPR)は、太陽電池や表面増強ラマン散乱などに応用される光学現象であり、11族元素(Cu、Ag、Au)を含むナノ粒子のみが、本質的に球状で可視域にLSPRを示すと知られていた。申請者らは11族元素を含まない「塩化セシウム(B2)型のPdIn」や「フッ化カルシウム(C1)型のPtIn2」の球状合金ナノ粒子が可視LSPRを示すことを発見したが、従来の理論ではそのLSPR特性を十分に説明できなかった。そこで、合金ナノ粒子のLSPR特性を予測可能にすることを目的として、構成元素・結晶構造および規則化度を変えた様々な合金ナノ粒子を合成し、そのLSPR特性を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
金属ナノ粒子中の自由電子は特定の波長の入射光と共鳴して集団振動する。この現象は「局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance; LSPR)」と呼ばれ、その特異的な電場増強効果やフォトサーマル効果などから、物理学をはじめとして、化学、生医学に至るまで広い分野で注目されている。 11族元素(金、銀、銅)ナノ粒子は可視域に、11族元素以外の金属単体のナノ粒子は紫外域にLSPRを示すと知られていたが、近年、11族元素を含まない規則合金ナノ粒子が可視域にLSPRを示すことがわかった。合金ナノ粒子であれば、金属の組み合わせによる電子構造制御の自在さから、波長制御が容易である可能性や、より酸化されにくく高い増強度を示すなど、単体の金属ナノ粒子で達成し得なかった化学的・物理的特性も期待できる。しかし、規則合金ナノ粒子のLSPR特性は予想より長波長に共鳴吸収を有するなど、従来の理論では十分説明できなかった。そこで、本研究では「結晶構造」や「組成」を精密に制御した規則合金ナノ粒子を合成し、詳細にLSPR特性を調べ、規則合金ナノ粒子のLSPR特性の自在な制御・設計を目指した。 当該年度においては、合金ナノ粒子の「結晶構造」がLSPRに与える影響に注力し、金-カドミウム系合金ナノ粒子の合成およびLSPR特性評価に取り組んだ。また、白金-スズ系合金ナノ粒子の結晶構造に由来するLSPR特性の観察にも成功した。これらの成果は、複数の学会で口頭発表し、現在論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、Au-Cdナノ粒子の合成に取り組んだ。具体的には(1)粒径を制御したAu-Cdナノ粒子の合成を行い、(2)それぞれの粒子の結晶構造および組成の解析、(3)LSPR特性の解析を試みた。 (1)粒径を制御したAu-Cdナノ粒子の合成に関しては、液相合成における反応条件を検討し、当初の計画通り異なる組成のナノ粒子を複数種類得ることに成功した。 (2)は当初計画していたように、結晶構造を粉末X線回折(XRD)により同定し、そのピーク位置や線幅で規則化度や粒塊のサイズを定量化している。また、組成の情報はエネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)、蛍光X線分析(XRF)、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により調べることができた。 (3)は紫外可視分光光度計による検討は想定通り進行し、十分な結果を得た。電子エネルギー損失分光法(EELS)によっても詳細に解析する予定であったが、電子線下でのナノ粒子の不安定性により難航している。この点はナノ粒子表面の構造をあらかじめ異なる材料で覆うことによる改善を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、予定していたように、結晶構造に加えて構成元素の影響に着目して研究を進めていく。具体的には、複数の結晶構造のAu-Cdナノ粒子が合成できているため、それと同じ結晶構造を持ち、異なる元素の組み合わせとなるAu-Zn、Ag-Cdナノ粒子の合成を検討している。また、当初の計画に加えて、分光エリプソメトリーによる光学特性評価にも取り込み、有限差分時間領域(FDTD)法による電磁界シミュレーションと合わせて、計算からもLSPR特性を解析していく予定である。
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