Project/Area Number |
23K13624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 28020:Nanostructural physics-related
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
三澤 賢明 福岡工業大学, 工学部, 助教 (00823791)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | フォノン / 結晶粒界 / 2次元物質 / 積層構造 / 密度汎関数法 / 分子動力学法 / 低次元材料 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,トポロジカル絶縁体におけるトポロジーの概念をフォノンに適用した「トポロジカルフォノニクス」の構想と全原子第一原理計算に基づき,超高周波弾性波を高度に制御するための方法論に関する基礎研究を展開する.原子スケールの構造が強く影響する系において,ナノスケールの構造が物質中のフォノンに及ぼす影響を明らかにする.さらに,二次元積層構造における層のずれにより生じる超格子を利用した,新たなフォノン制御指針の確立を目指す.また,本課題で駆使する解析技術により,複雑な電子状態を有する遷移金属化合物における構造と電子状態に関する研究にも着手する.
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Outline of Annual Research Achievements |
携帯通信機器やメディア機器の発展に伴い,表面弾性波を自由自在に制御する技術のさらなる高度化が求められている.特に,テラヘルツ帯域の超高周波弾性波を制御する技術を確立することは,次世代の高速通信技術開発の鍵である.物質表面におけるフォノン分散関係に基づくと,特定の周波数をもつ弾性波を特定の経路に沿って伝播させる弾性波導波路を設計することが可能である.この方法でテラヘルツ帯域の弾性波導波路を実現するためには,ナノスケールの構造を利用することが必要不可欠である.本研究課題では,第一原理計算によってこれらの2次元材料における結晶粒界および積層構造に基づいて界面フォノンを制御する方法論を確立することを目指す. 初年度は,グラフェンナノリボンのもつエッジ構造に着目し,アームチェア型のエッジ同士を半周期平行移動して接合することで線欠陥型の結晶粒界モデルを作成した.この結晶粒界を含む単層グラフェンのフォノン分散関係を解析したところ,50THz付近と12THz付近に結晶粒界に局在した界面フォノンモードが生じることが明らかになった.さらに,この結晶粒界を含むグラフェンに六方晶窒化ホウ素を積層した構造を作成し,同様の解析を行なったところ,50THz付近と12THz付近に加えて42THz付近に新たな界面フォノンモードが生じ,これらのモードではグラフェンの結晶粒界とともに積層した六方晶窒化ホウ素層も同時に振動していることが分かった.以上の結果は,積層構造を用いることによって新たな周波数帯域に界面局在フォノンを励起できる可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通り,線欠陥型の結晶粒界を導入した単層グラフェンにおけるフォノン分散関係の解析を行い,結晶粒界に局在したモードの存在を確認した.また,このグラフェンに六方晶窒化ホウ素を積層した系におけるフォノン分散関係を解析し,物質の積層がフォノン伝播特性に及ぼす影響について解析を進めている.しかしながら,初年度に作成・解析を行なった結晶粒界モデルは1種類のみに留まっており,当初の想定に比べると研究の進捗はやや遅れていると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度の研究の推進方策を以下に示す: (1)初年度に解析対象としたアームチェア型エッジ構造を用いた結晶粒界に加え,よりバリエーションに富むカイラル型エッジ構造を用いた結晶粒界モデルを作成してフォノンモードを解析することで,さらに高度なフォノン特性制御の実現可能性を探る. (2)第一原理計算により検証した構造モデルを用いて古典的分子動力学法による弾性波伝播のシミュレーションを実現するため,結晶粒界を含む系におけるフォノンの性質を表現可能な原子間相互作用ポテンシャルおよびパラメータについて検証を行う.また,その結果に応じて機械学習原子間相互作用ポテンシャルの構築を検討する. (3)トポロジカル・フォノニクスの適用によるロバストな弾性波導波路の設計指針の確立に向け,結晶粒界に局在したフォノンバンドのもつトポロジカルな性質について詳しく解析する.
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